Reboot 6

2018.02.11 09:28|Reboot
Reboot 6











それからチャンミンは試用期間を終えて無事にバイトとして雇われ毎日ヒチョルの店で働いていた


俺は日雇いだけどヒチョルの知り合いが経営する土木会社の現場仕事をしていた


「お前ならホストで軽くNo.1になれるのにもったいない」とヒチョルに言われたが将来教師に復帰する時にそんな職歴があるなんて絶対にダメだしそれに俺には女はよくわからない生き物過ぎて到底無理だ


ヒチョルから紹介してもらった土木会社は訳ありの奴らばかりが集まってる場所だからテファンが何を言ってこようと関係ない


要は力仕事が出来れば誰でも歓迎だった


朝早くから夕方まで働き、チャンミンより一足先に家に帰る俺はご飯を作って家で待っているという生活が2ヶ月ほど続いていた…


あれだけこだわっていた教師への執着も今はチャンミンとの暮らしを優先することで自分の中で折り合いをつけることができていた


チャンミンはますます俺を慕ってくれて、俺もそんなチャンミンが可愛くて仕方なかった


その可愛いと思う気持ちがすでに恋愛感情に変わってしまっていたことを自分では認めたくなかった


あくまでも今の俺の立場は保護者だ


チャンミンもきっとそんなふうに思ってるはずだ


何の疑いもなく慕ってくれているチャンミンを変な目で見ているなんて酷い裏切り行為になる


それに、この気持ちを認めてしまったらもう抑えが効かないほどのめり込んでしまうだろう…


そのくらいチャンミンの魅力は他にはないものがあった…









「ユノさん、おかえりなさい」







「あれ? チャンミン、今日は早いな?

店はどうした?」







「あ… あのね… ヒチョルさんが今日は早く帰れって…

それでこれ、ユノさんに渡して欲しいって…」







そう言って冷蔵庫から出してきたはケーキの箱…







「ああ… だからか」







「これ、ケーキだって…」






「チャンミン、ケーキ好きか?」






「うん!」







「開けていいよ」






チャンミンがケーキをテーブルに置くと嬉しそうに箱を開けた






「ユノさん、今日お誕生日?!」







丸いホールケーキにはこの歳では恥ずかしいくらいにデカデカと「ユンホ 25歳 誕生日おめでとう☆」とプレートに書かれていた







「そうなんだ。だから多分ヒチョルが気を利かせて早く帰らせたんだろ」







「お誕生日… プレゼントない…

ごめんなさい… 僕知らなくて…」







「そんなのはいいよ

それより、何か作ってるのか?」







台所には玉ねぎやニンジンをみじん切りにしているのが見えた






「えっと… ハンバーグを作ろうと思ったんだけど…」






「へぇ… チャンミンが料理してくれるの初めてだな?

嬉しいよ」







「それが…」







チャンミンは俯いてボソボソと何か言っている







「ん? 何だ? 聞こえないよ?」







「僕… 施設で料理も手伝ってたし、ハンバーグは得意だったんだけど…

だけど… どうやってやるのか忘れちゃって…

どうしてもわからなくて…」






最近、チャンミンは記憶が飛ぶことがある…


昨日できたことが今日はできなかったり、できないと思っていたものが急にできたり…


驚いたのは数字に強いということだ


ヒチョルから聞いた話では、売上票を一瞬見ただけでその数字を全て覚えていたり、大人数で複数注文している伝票を僅か数秒で計算できると…


でもそれもできない日は全くできない…


チャンミンの脳の中で何かが起きている…


一度病院に連れて行った方がいいと思いながらもチャンミンは未成年だ… 親族でもない俺が連れて行ったら不審がられて役所に通報されてしまうかもしれない…


そう思うとなかなか連れて行く決心がつかなかった


それにこの症状は昔からなのかもしれないし…


とりあえずはドンソクを待つしかないが連絡はまだない…


たまにアパートに行ってみても帰って来た気配もなく、家賃は前払いで払われているらしくそのままの状態だ…


正直、ドンソクに帰ってきて欲しくはないがチャンミンのことが心配だった…








「そうか、じゃあハンバーグ一緒に作ろうか?」







「うん!作る!」







「先にシャワー浴びてくるからちょっと待ってなよ?」






そう言って急いでシャワーを浴びていると微かにインターフォンが鳴る音が聞こえた


こんな時間に誰だろうか?


バタバタと音がしてチャンミンが対応しているような気配に心配になり急いで身体を拭いて着替えた







「ユッユノさんっ!」







案の定困ったようなチャンミンの声に玄関に行くと…







「ユノ! 誕生日おめでとう!」







そこにはテファンが花束を持って笑顔で立っていた…















※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※

遅くなりましたが…

ユノ、誕生日おめでとう(((o(*゚▽゚*)o)))♡


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Reboot 5

2018.02.09 06:50|Reboot
reboot 5










「ユノさん!」









約束の時間を過ぎてから店に迎えに行くとチャンミンか駆け寄ってきた








「遅かったな、チャンミン心配してたぞ?」








「悪い…」







「何かあったのか?」








「ん… ちょっとな…

また今度話すよ

チャンミン、帰ろうか?」







「うんっ!」







店を出るとさっき買ったマフラーを首に巻いてやった







「寒くないか?」







「大丈夫… ありがとう」







ぐるぐるに巻いたから顔半分隠れて大きな目が余計に強調され、あまりの可愛いさに目が離せない…


見るたびにチャンミンの魅力に気づかされ心を動かされていく


昨日会ったばかりだと言うのに俺のことを信じて慕ってくれているような目を向けてくれるのが嬉しくてついつい何でもしてあげたくなってしまう


さっきのソンジュからの話で黒く曇った心がチャンミンの屈託のない笑顔で晴れていくのがわかる


チャンミンは一人で困っているから俺を必要にしてくれているのかもしれないけど、もしかしたら俺の方がチャンミンを必要としているのかもしれない…






「仕事はどうだった?嫌なことはなかったか?」






「うん、みんな優しくていい人ばっかりだった。

お皿も上手く洗えてるってヤムさんに褒められたよ!」







「そうか、良かったな。」







「うん、もっといろいろ出来るようになりたい!」







「チャンミンなら大丈夫だ。きっと上手くいくさ。」






「ちゃんと働けるようになったらきっとヒョンも喜ぶよね?」






「そうだな…」






チャンミンからヒョンと言う言葉を聞くたびにイライラする…


あんな酷い生活させたあげくチャンミンを騙して稼いだお金を使って今頃どこかで遊んでいるに違いない


そんな奴をチャンミンが慕っているのが嫌だ


どれほど工場で酷い扱いを受けていたんだろうか


チャンミンにとっては工場よりドンソクとの生活の方が数倍マシだったってことなんだろうけどドンソクがチャンミンにやらせていたことは人として最低な行為だ


チャンミンが普通より幼いからってそれを利用して…





「ユノさん… どうしたの?

なんだか元気がない…」






「そんなことないよ…

今日はいろいろあったからちょっと疲れたかな?」






「… ユノさん、僕明日から一人でお仕事行くね

ユノさんもお仕事忙しいのに… ごめんなさい」






チャンミンは俺が疲れてしまったのは自分のせいだと思ったんだろう…


申し訳なさそうにうつむいてしまった







「俺、今仕事してないから気にしなくていいよ

でもお店近いし明日からは一人で行けるよな」







「ユノさんお仕事… してないの? どうして?」







チャンミンは不思議そうに俺の顔を除き込んだ


チャンミンからしたら仕事を紹介した俺が仕事をしてないなんておかしいと思ったんだろう







「ああ… やりたい仕事があるんだけどなかなか就職できなくてね」







「そのお仕事じゃないとダメなの?」







「ダメって言うわけじゃないけど…」







俺は学校の教師になるために今まで頑張ってきた…


母一人、子一人だった俺の家は常にお金に困っていてとても塾に通う余裕もなく自力で勉強をしてきた


大学の費用もバイトを何個も掛け持ちしてどうにか卒業できた


母も俺が教師になるのを楽しみにしていたからきっとかなり無理してくれていたと思う…


だから一刻も早く教師として再就職したくて前の学校を自主退職してからは就職先を探すだけで働くということをしてこなかった


すぐに再就職できると思っていたのもあるけどテファンのせいで辞めさせられたことに対しての意地もあった


でも今日のソンジュからの電話で簡単には教師として再就職するのは難しいとわかった


テファンの嫌がらせが収まるまでは下手に動かない方がいい…


それにチャンミンが与えられた目の前の仕事を懸命にやろうと頑張る姿を見て自分も教師の仕事にこだわらずとにかく働こうという気持ちになれた


しばらくうちにチャンミンが住むんだからそれなりに出費もあるだろうし…







「俺もチャンミンを見習って明日から働くかな…」







「僕を見習って??」







チャンミンは余計に不思議そうな顔していた












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Reboot 4

2018.02.01 16:10|Reboot
Reboot 4










すぐさまヒチョルに電話をかけた


これまでの経緯を話してヒチョルの店でチャンミンを働かせてもらえないかと頼むと、とりあえず連れてこいと言われた


ヒチョルだって俺の頼みだからと使えない人間を雇うほど甘い男じゃない


ヒチョルの店でチャンミンにもできる仕事があればと思ったが、俺も昨日会ったばかりでチャンミンのことはよく知らない


何ができて何ができないのかさっぱりわからない


とにかくヒチョルがいる日中のカフェの時間帯にチャンミンを連れて行った








「わあっ!綺麗なお店!」








店のドアを開けて入るとチャンミンはキョロキョロと店内を見回した


ランチの時間も終わりお客もまばらな店内の奥からヒチョルが手招きしていた








「チャンミン、こっちだ」








俺はチャンミンの腕を掴んでヒチョルのいるバックヤードに連れていった


2人で事務所の椅子に座ると向かいに座っていたヒチョルがチャンミンを見てニヤニヤしている







「何だよヒチョル…」








「いや… 凄いの拾ってきたなと思って」







「おいっ…」







「確かにその子ならそっちで稼げるだろうな
それに後何年かすれば女相手だって…」







「ヒチョル、冗談もいい加減にしろよ」







「ユ… ユノさん…」







ヒチョルのいつもの悪い冗談なのはわかっていたが腹が立って声を荒げた


そんな不穏な空気にチャンミン不安になったのか俺の腕をぎゅっと掴んだ






「あ〜 ごめんごめん、冗談だって。

チャンミン君…だよね?

俺、ここの店のオーナーでヒチョルって言うの。よろしくな?

早速だけど質問ね、君はこの店どう思った?」







「え… っと… 凄く綺麗です…」







「そうか

じゃあ、このカップや皿はどう思う?」







そう言ってあらかじめテーブルの上に置いてあった食器を見せた







「綺麗… このお店にピッタリです…」







「そうだろそうだろ?

俺、この食器が好きでさぁ〜 店開いたら絶対にこれ使うって決めてたんだよ」







ヒチョルが自慢げにカップを裏返して底に書いてあるブランド名を俺とチャンミンに見せつける


それは誰もが知っている高級ブランドで普通のカフェでは絶対に使わないものだった







「ヒチョル… この店の食器全部このブランドなのか?」







「ユノ… お前今頃気づいたのかよ」







確かにカジュアルなカフェではあるけどランチに来るといつも品の良さそうな奥様達で賑わっていた


料理の質も高くて評判なのは知っていたけどこの食器の効果もあったのかもしれない






「でさ、この食器だと食洗機が使えないからうちは人が洗ってるんだけど、今パートで来てもらってるヤムさんっておばさん1人だと最近追いつかなくってさ、丁度もう1人入れようかと探してたんだよね

どう?やってみる気ある?」






「食器を洗えばいいんですか?」






「うん、基本は皿洗いだけど後は空いてる時間にキッチン周りの掃除とか雑用全般だよ」







「どうする?できそうか?」







チャンミンにそう聞いてみるとコクリと頷いた







「あ〜〜 でもまだ採用決定じゃないよ

1週間やってもらって合格できたらってことで。」







「僕… 天使園でいつも皿洗い手伝ってたし、料理もしてたからできることは何でもやります。」








「おお〜〜いいね!そのやる気!
早速今からやってみるか?」







「やります!」








「今からって… いきなり…って、おい…」







ヒチョルは俺の言葉を無視して白い厨房着をチャンミンに渡した






「あっちが更衣室。そこで着替えてきて」







チャンミンは言われるがまま更衣室へと向かった







2人きりになるとヒチョルはポケットからタバコを取り出し火をつけた


美味そうに深く吸い込み吐き出した







「そういうことで、とりあえず今日から試用期間1週間な?

使えそうならこのままここで雇ってやるよ」








「ああ… わかった。

いきなりこんな頼み言って悪かったな。

ありがとう。」








「じゃあ、そういうことで…

帰りは… そうだな、3時間後くらいに迎えに来いよ」







「えっ?」







「まさかお前、このままずっとチャンミン見てる気だったのか?

ったく… 過保護はあの子のためにならないぜ
いいからどっか出かけてこいよ

そうだ、あのブカブカの服お前のだろ?服くらい買ってやれよ。」







そう窘められて心配しながらも近くの衣料品店に足を向けた


チャンミンの家から持ってきた服はどれも汚れてヨレヨレになっていて結局俺の服を着せてきたんだ


とりあえず無難な服や下着を3つづつ購入したためにかなりの荷物になり一度アパートに帰った


部屋を掃除してチャンミンの荷物や衣類を片付けてあと少しで迎えに行こうかと思っているところで携帯電話の着信音が鳴った








「はい… チョン・ユンホです。」








「ユンホか?俺、チョ・ソンジュだけど覚えてるか?」







「ソンジュ?どうした?久しぶりだな!」








チョ・ソンジュは大学時代一緒に教育実習をした仲間だ


大学時代はよくつるんでいたけど卒業してからは疎遠になっていた








「この間携帯番号変えたのにどうしてこの番号を?」








「お前、昨日高校教師の採用面接に行っただろ?

あの学校で俺教師やってるんだよ

それで履歴書見て電話したんだ。

個人情報勝手に見て悪かったな」








「いや、そんなのはいいよ

それよりソンジュあの学校に居たんだな

採用されたら一緒に働けるんだけどな。」








「ああ… そのことなんだけど…

お前さ… 誰かから恨まれてないか?」







「え?」








「昨日、面接した同僚に聞いたんだけどお前が帰った後に変なFAXが来てさ…

その… お前が男と付き合ってるとかそんなようなやつ…」







「……っ…」







「いや… そんな嫌がらせ信じてるわけじゃないよ?

ただ、せっかくお前のこと採用するつもりで話が進んでたのにそのFaxのせいで駄目になってさ…

学校としては嫌がらせされてるような問題のある人はちょっと…って…」






「…… そうか… わざわざ教えてくれてありがとうな」







テファンだ…


そんなことする奴はテファンしかないない…


今まで何度も採用面接に落ちていたのももしかしたらテファンの仕業だったのか?


これじゃあ何度受けたって採用される訳がない…


あいつはどこまで俺を苦しめる気なんだ…


電話を切った後も俺はショックで日が落ちて部屋が真っ暗になっているのも気がつかずに呆然としていた…














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Reboot 3

2018.02.01 00:00|Reboot
Reboot 3









翌朝… 暖かいぬくもりの中、目を覚ますと目の前にはチャンミンの寝顔があった…


狭い部屋にギュウギュウに敷いた2組の布団で別々で寝ていたはずなのにいつの間にか俺の布団に入り込んで横を向いた俺の身体の隙間に埋まるよに寄り添っている…


この寒い部屋でいつもより深い眠りにつけたのはチャンミンの温もりのせいだったのか


久しぶりの人の温もりに戸惑いながらもその天使のような可愛い寝顔に見惚れていた…


大きな瞳を閉じた瞼に長い睫毛が美しくカーブしながら生え揃い、少し丸みのある高い鼻は見る角度によって美しくも愛らしくも見える…


少しカサついている唇が気になって思わず指でなぞるとピクッと身体が反応してチャンミンの瞼がゆっくりと開いた…








「ん… おはよう… ございます…」








「おはよう」








チャンミンはまだ眠そうな目を擦りながら大きな欠伸をした…








「何で俺の布団に?」








「寒かったから…」








「ああ… 確かに昨夜は寒かったけど…」







「天使園ではね、寒いときいつもみんなでくっついて寝てたんだよ」








「そうか…

じゃあ、お兄さんとも?」








「うん」







その返事に不快感を覚えた…


『ヒョン』と慕うドンソクと言う男はチャンミンにとってどんな存在なんだろうか…







「でもヒョンはいつも夜お仕事で帰ってこないからアパートではずっと一人で寝てて寒かった…」







寂しそうにそう言うと身体を丸めながら俺の胸に顔を埋める…







「ユノさん… あったかい…」







可愛い子にこんなふうに甘えられて嬉しくない訳がない…


だけどチャンミンは誰にでもこんなふうに人懐っこく接するのかもしれない…


昨日会ったばかりの俺を簡単に信用して無防備に身体を擦り寄せてくるとか…


男相手に売りをさせられていたチャンミンには男同士でもできることはわかっているはずなのにどうしてこうも警戒心がないのか…


チャンミンにとってそういった行為はどうってことないことなのか?


俺はチャンミンの身体をグイッと押し離した







「チャンミンはもう小さな子供じゃないんだからさ…

こんなふうに同じ布団でくっついて寝るのは好きな人だけにしなきゃ駄目なんだよ、わかるよな?」







「僕… ユノさん好きだよ?」







キョトンとした顔で俺の胸元から顔を上げて上目遣いで見つめてくる…







「好きって… 昨日初めて会ったのに?」







「だって… ユノさんいい人だし、優しいから…」







「そうじゃなくてさ…」







説明しようとして言葉に詰まる…


チャンミンにいい人だからの好きと恋愛感情という意味の好きの違いをどう説明すればいいのか…







「俺はね、世界で1番好きな人としかこんなふうにくっついて一緒に寝ないんだよ。

だから相手も俺のことが1番じゃないと嫌なんだ。

チャンミンは俺よりドンソクヒョンの方が好きだろ?」







「……………」







黙って考え込んでいる…


チャンミンにとってヒョンという存在の方が昨日会ったばかりの俺より上なのは当然だ…


それが恋愛感情なのか兄として慕っているだけなのかはチャンミン自身も分かっていないのかもしれない…







「よし、そろそろ起きるぞ」







答えを待たずにチャンミンの頭を撫でると布団から出た…


それから朝ご飯を食べ、ドンソクが帰ってないか確認するためチャンミンのアパートに2人で向かった


チャンミンの案内で着いたその場所は驚いたことに道を2本挟んだ裏の通り… 目と鼻の先にあり、俺のアパートより更に貧相な作りだった


扉を開けて中に入るとほとんど物がないガランとした部屋に布団と段ボールに入った衣類や生活用品が置いてあるだけ…


テレビも無ければ冷蔵庫すらなかった…







「ヒョン… まだ帰って来てない…」







寂しそうに肩を落しているチャンミンに必要最低限の衣類を鞄に詰めさせて俺の連絡先を書いた紙を玄関のドアに貼ってアパートを後にした…


駅に向かって歩きながら次はチャンミンが育った天使園という児童養護施設に行ってみようと場所を尋ねると…







「天使園はもうないよ…

園長先生… 死んじゃったんだ…」







聞けば一年前に園長先生が亡くなり、ギリギリの予算で個人運営していた施設は後継者も見つからず、子供たちは他の施設に移っていったそうだ…


その時チャンミンだけは園長の葬儀にやって来たドンソクについてきたらしい…


ドンソクは始めからチャンミンに売りの仕事をさせるためにここに連れて来たに違いない…


チャンミンにはドンソクが帰って来るまで一緒に待とうなんて言ったけど、俺といるよりやはり専門機関に任せた方がいいだろう…


売りなんてやらせないようにちゃんとした仕事を与えて悪い環境から引き離さなきゃいけない…







「それじゃあ… 役所に行ってみようか?

お兄さんはいつ帰るかわからないし、これからどうすればいいか相談してみよう」







そう言った途端隣を歩いていたチャンミンの歩みが止まった…


振り返ってみると下を向いて立ちすくんでいた







「どうしたんだ?」







「僕… 行かない…」







「だけど、このままじゃ…っ… チャンミン!?」







持っていた荷物を放り出し、チャンミンは来た道を走り出した


俺はその荷物を拾うとチャンミンを必死に追いかけた…







「待てって!!」







チャンミンがアパートの階段を数段登ったところでやっと腕を捕まえた







「やだっ!!行かないっ! 家に帰るっ!」







「分かった!行かないから落ちつけって! 」







「ほ… ほんと?」







「ああ… そんなに嫌なら行かないよ」







「もう… 工場には行きたくない」








「工場?」







「前に働いてたところ…」








落ち着きを取り戻したチャンミンを家に連れて帰って話をよく聞いてみた…


中学卒業後、チャンミンは障害者雇用を積極的にしている工場に就職したらしい


工場には寮があり、そこに住んで自立した生活を目指していた…







「頑張ったんだよ?でも工場の人に毎日、毎日たくさん打たれたんだ…

僕がバカで仕事できないからって…」







そう話しながらチャンミン手が震えている…


相当辛い目にあったんだろう…








「それでね… 階段から落ちちゃって…」








「階段から?」








階段の踊り場でいつものように打たれそうになったチャンミンはそれを避けようとした拍子に足を踏み外して階段から落ちて病院へ運び込まれたと…






「目が覚めたら園長先生がいたんだ…

僕… 何日もずっと眠ってたんだって…

それでね、天使園に帰りたいって言ったら帰ろうねって言ってくれて…

それから天使園でご飯作ったり掃除したり手伝いしてたんだ。

でもね… しばらくしたら園長先生が病気になって死んじゃった…

そしたら役所の人が来てまた僕をあの工場に連れて行くって…

だから僕… ヒョンのところに行きたいってお願いしたんだ…」







「そうだったのか…

だけど… ドンソクには嫌な仕事やらされてるんだろう?

そんなヤツと一緒にいるのは嫌じゃないのか?」







「ヒョンは優しいし、いい人だよ?

仕事は嫌だけど… でも仕方ないよ… 僕バカだから…」







「チャンミンは馬鹿じゃないよ!

他にだってできる仕事はたくさんあるから

俺が見つけてやる…

だから男相手にそんな仕事したら駄目だよ」








「僕にできる仕事? 打たれない?」








「ああ、大丈夫だ」







「働く! 働きたい!

それで早く学校に行くんだ!」







こんな過酷な状況下にありながらもチャンミンの顔は希望に満ちていた…


そんなチャンミンの煌めく瞳を見て助けてやりたい… 応援してやりたいと思った…


それが教師だった俺の本質でチャンミンだからとか特別な感情はない…


この時はそう思っていた…















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Reboot 2

2018.01.31 00:00|Reboot
Reboot 2










部屋に入りチャンミンを招き入れた…



暗い外ではよくわからなかったけど電気をつけた明るい部屋でよく見るとパッチリとしたクリクリの可愛い目… まだ幼さがある中にも色気すら感じる綺麗な顔立ちに驚いた…


正直、かなりの好みのタイプだった…


今まで可愛いと思う子は沢山いたけれど、美しいと思ったのは初めてだ…


でも相手は教え子くらいの子供だ… そういう対象に見てはいけない…







ユノは酔いと邪念を醒ますかのように両手で自分の顔を軽く叩いた







「おじゃまします…」







靴を揃えて部屋の中に入ってきたチャンミンから異臭がするのを感じて上から下まで良く見ると、髪の毛はボサボサで服もサイズの合わないダボダボの薄汚れたジャージを着ているのに気がついた







「チャンミン、もしかしたらしばらく風呂に入ってないんじゃないか?

今風呂にお湯溜めてやるから先に入っておいで?」







「でも… ごはん… お腹すいて…」







「お風呂に入ってるうちに作っておくから…な?」








「うん…」








チャンミンが風呂に入っている間に冷蔵庫にある野菜を適当に突っ込んだ簡単なチゲ鍋を作った


ご飯を炊いてる時間はないからその中にインスタントラーメンの麺を入れて少し煮込んだところにチャンミンが風呂場から出てきた…


それもタオルを腰に巻いただけの姿で…







「あの… 僕の服は?」








「ああ… 服はかなり汚れてたから洗濯したよ。

だから脱衣所に俺のジャージと下着を置いておいたからとりあえずそれを着ておいで」







「う… うん…」







チャンミンが脱衣所に戻ったところではぁっと息を吐いた…


何だあれは… あんなに綺麗な身体は見たことがない…


なめらかな澄んだ綺麗なハリのある白い肌に少し痩せてはいるけれどしなやかな身体の曲線…


息を飲む程の美しさとはこういうことを言うのか…


俺の男の部分が顔を出しそうになるのをグッと押さえ込む…


駄目だ… しっかりしろ


何考えてるんだよ…


教師をしている時だって生徒をそんな目で見たことなんて一度もなかったのに…


一瞬でもそういう目で見てしまった自分を恥じた…













「わあっ!美味しそう!」







台所で皿や箸を用意しているとチャンミンはいつのまにか着替えてテーブルの前に正座していた








「ほら、髪の毛乾かさないと風邪ひくから…」







床に座っているチャンミンの後ろからタオルで頭を拭いてやる…


ちらちらと見える綺麗なうなじをなるべく見ないように水気を取った







「あの… もう食べていい?」







「ああ、いいよ」







「いただきます!」







よほどお腹が空いていたんだろう、一心不乱に食べ始めた…







「好きなだけ食べていいからもっとゆっくり食べな」







「ふぁっ…ふぁい…」







口一杯に豆腐を入れたまま可愛い返事するとそのまま無言で食べ続け、2人前あった鍋はあっという間になくなってしまった


あんなに勢いよく食べている割りに食べ方は綺麗だし周りに汁も全く飛び散っていない…


ポワンとした緩い雰囲気の中にしっかりした部分も見られる…


何ともアンバランスな感じ…








「ごちそうさまでした

ユノさん、すっごく美味しかった!

ありがとう」







礼儀も正しい…


そして食べ終わった後に食器や鍋を台所に運んで洗い物までしている


きちんと施設で躾られている… きっと良い先生達が育ててくれたんだろう


だけど、素直でいい子そうだなと思うたび余計にさっきの公園でのことが気になる…


それにこんな知らない人の家に平気で上がるなんて警戒心が無さすぎだ


俺がさっきみたいなヤツだったらどうする気だったのか…







「チャンミン… 洗い物はいいからこっちに来て少し話をしようか?」







チャンミンはうなづくとテーブルを挟んでユノの座っている向かいに正座をした







「君のこと、少し教えて欲しいんだけどいいかな?」







「うん…」







「まず、君は何歳?」







「17歳… 」







「ええっ?…17??」







あどけない表情と少し幼い話し方にまさか17歳とは思いもしなかった…







「高校3年生か?」







「僕… 高校は行ってない…」






「そうか…

じゃあ、お兄さんは何歳? 仕事は?」







「えっと… ヒョンは22歳で…

夜はハイドって店で働いてて、昼は女の人とデートする仕事って言ってた…」







デートする仕事って… 出張ホストか? ハイドって店は確かこの界隈では有名なホストクラブ…


昼も夜も働いてるってことか?








「チャンミン… 君は?

学校行かないでどうしてるんだ? 働いているのか?」







「うん… ヒョンが仕事くれるから…」







「お兄さんが?

まさか君も女の人とデートする仕事してるのか?」







「違うよ…

ヒョンが僕じゃ女の人とデートは無理だって…

だから男の人を家に連れて来るんだ…」








「はっ?」








「僕は女の人より男の人の相手する方が沢山お金貰えるんだって…」







なんだそれは…


それってやっぱり…







「じゃあ…

さっき公園にいた男は客だったのか?」







「うん… 前に一回だけ来た人だよ。

でも今日はヒョンいないからダメなのに勝手に1人で僕の家にきちゃったから公園に逃げたんだけど捕まっちゃって…」







「いないとダメって…

お兄さんがいるときだけ… するのか?」







「うん… ヒョンが自分がいない時に勝手にしたらダメだって…

じゃないとちゃんとお金貰えないし危ないからって…

だからいつもヒョンがお客さんからお金を貰って、危なくないように見ててくれるんだ…」







何てことだ…


やはり売りをやっていたのか…


それも兄にやらされているなんて…


こんな話… チャンミンは悪びれもせずに普通に話しているけどよくないことだって自覚もないのか?







「チャンミン… 君はそんなことするのは嫌じゃないのか?」







「嫌だよ… だけど仕方ないよ…

僕、頭悪いしすぐにボーッとしちゃうから他にできる仕事ないってヒョンが言うし…

だけどね、ヒョンがこの仕事で早くお金貯めたらそのお金で学校に行かせてくれるんだって

そうしたら頭良くなってなんでもできるようになるからって…」







「じゃあ… チャンミンが稼いだお金は全部お兄さんが持ってるのか?」







「うん、貯めておいてくれてるって…」







そんなわけないだろ…


騙されていいように使われてるだけだ…


話しているうちに途中から何と無く気がついた… チャンミンは少し年齢にしては幼い…


先天的なものなのか後天的なものかはわからないけど周りのサポートが必要な子だ…


こんな子を金の為にそんな仕事させるなんて許せない…






「お兄さんってチャンミンの本当の兄なのか?」







「ドンソクヒョンは天使園のみんなのヒョンだよ」







「天使園… それがチャンミン達が育った施設か?

じゃあ、お兄さんとは血は繋がってないんだな?」







「うん… 僕もヒョンも天使園にいる子はみんな赤ちゃんの時に捨てられてた子供なんだ…

だからみんな園長先生がお母さんだったんだ」







「そうか…」







実の兄じゃないってことで確信した…


そいつはチャンミンをお金のために利用している…


お金も持たせずに放置しているってことはもう帰って来ないつもりなのか…


とにかくこのまま1人で家に返すわけにはいかない。


また客だった男が来るかもしれないし、兄が帰ってきたら売りの仕事させられるかもしれない…


まずは明日、その天使園の園長先生に連絡して相談してみたほうがいいだろう…







「チャンミン… 今日はもう遅いしここに泊まってって」







「え… でも…

ヒョンが帰って来るかもしれないし…」







「お金もないし、電気もつかないんだろ?

お兄さんが帰ってなかったら明日の朝ごはんはどうするつもり? 昼ごはんは? 夜ご飯も食べられないぞ?」







「そっか… どうしよう…」








「だからお兄さんが帰って来るまでうちにいるといいよ。

明日、チャンミンの家に案内してくれる?

ここにいてもわかるようにドアに俺の連絡先を書いて貼っておこう。

そうすればお兄さんが帰ってきたらすぐに電話してくるだろ?」







「う…うん… でも… ヒョンに怒られないかな?」








「大丈夫、俺がちゃんと説明してあげるからここで一緒にお兄さんの帰りを待とう」








「うん! 」








安心したのかチャンミンはパァッと明るい笑顔を見せた…















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プロフィール

こんにちは!Monakoと申します。 東方神起のユノ、チャンミンが大好きです。 好きってだけで始めた妄想小説ですので、文章が至らないところが多々あると思いますが、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。 BLなR18も出てきますので、苦手な方はご遠慮くださいね☆彡 主人公は不死身、ハッピーエンド主義、ホミンラブです♡

Monako

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