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Cheering 〜覚めない夢〜 6

2016.10.28 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜












「ドンホ…僕やっぱり…」







「何だよ、ここまで来ておいて帰るとか言わせないぞ?」






僕はドンホに連れられて同窓会会場のイタリアンバルの店の前にいた。


道が混んでいて少し遅れて到着した上に入り口の前で入るのを渋る僕にドンホが痺れを切らして…






「ったく、俺先に入るからな!」






「えっ…そんな…ドンホ…」






僕を置いてさっさと1人で入って行った…


本当は来るつもりなかったのに、ドンホがしつこく一緒に行こうって誘うから来たのに…


あの日…車の中で僕のボングンへの気持ちを打ち明けた時、気持ち悪いって引かれるかと思ってたのに、ドンホは『好きになっちまったもんはしょーがねーよ。』と、あっさり理解してくれた。


そして、思いもよらないことを言い出した。









「俺はずっとボングンがドンジュに片思いしてるんだとばっかり思っていたよ。

だからあの時も部室でボングンがドンジュを無理やり襲ってるんだと思って焦ったんだ…

まさか、ドンジュもボングンのことが好きだったなんてな…

両思いだったってわけか…」







「そんなはずないよ。

だってあの時ボングンに僕のことは1度も友達だと思ったことないって言われたし…」







「そりゃそうだろ。好きな子とは恋人になりたいんだから友達だなんて思いたくないし。

逆にさ、好きなやつに友達だよって言われたらショックじゃねーの?」







「じゃあ…僕…ボングンに嫌われてないの?」







「だから嫌いどころか好きなんじゃないかって言ってんの。

お前さ、両思いだったのに振ったのか?

あいつ、フラれたのがよっぽどショックだったんだな…

それであんなふうにグレちゃったわけか…」







両思いだなんてそんなわけない…ドンホの勝手な思い込みのような気がする…


そもそも告白されてもいないんだから振りようがないし…


それにもしそうだったとしても当時の僕はどうすることもできなかった…


だって未だに僕はあの頃と変わらずに家に縛られたまま何もできないでいるのに…


だけど…







「もしドンホの言ってることが本当だとしたら僕は余計にボングンには会えないよ…」







「何でだよ。まだ泣くほど今も好きなんだろ?

ボングンが今はどう考えてるかわからねーけどもうあれから5年近く経ってるんだし、さすがにあいつも落ち着いてるだろうから会って話すくらいはさ…」







「そうじゃないよ…僕が駄目なんだ…

もうずっと好きで…好きすぎてボングンに会ってしまったら自分を抑えられる自信がない…

もし、少しでも僕の事が好きだったなら…

今も少しでも好きでいてくれたら…

今度は僕がボングンに何をするかわからない…」







「何するかって…ぶっ!あはははっ!

お前がボングンを押し倒すとか?

そりゃ〜いいや!好きにしろよ!

もしお前をそうさせるくらい強い想いがあるならぶつけてくればいいんだよ。

ずっと我慢ばっかりしてきたんだろ?

1度くらいやりたいようにやってみろよ。」








「それが駄目だから会わないって言ってるのに…」








「ほらまたそうやってすぐ駄目駄目ってさ。

大丈夫、俺が傍にいてやるから。

まずい状況になったら止めてやるって。」















…なんて言ってたくせに、すでにドンホの頭の中はクラスのマドンナだったウンソのことでいっぱいなはずだ…


どうしよう…もうボングンは店の中にいるんだろうか…


会いたいな…本当は凄く会いたいのに…


けど会ってしまったら全てをぶち壊してしまいそうで怖いんだ…


だから…やっぱり帰った方がいいのかも…








「入んねーの?」








「!!!」







突然後ろから声がした…聞き覚えのある声…


ゆっくりと振り返るとサングラスをしたラフな格好のボングンが立っていた…







「ボングン…」







「よっ、久しぶりだな?」







目の前にいるのが信じられなくてポカンと見つめていた。







「お前も今来たのか?」







「う…うん…でも…やっぱり帰ろうかなって…」







「そうなんだ。じゃあちょうどいい。

2人で飲みに行かねーか?」







「えっ…だって…同窓会は?」







「同窓会なんて興味ねーよ。

俺はお前に逢いたくて来ただけだから。」







「僕に?」







「ほら、他の奴らに見つかったら面倒くせーから早く行くぞ?」






そう言って僕の肩をガシッと掴んで肩を組んだままさっき歩いて来た方向へと向かった。


こんな展開想像もしてなかった。


僕に逢いたくて来ただなんて…


あんな気まずいまま口もきかずに卒業したのにまるで何もなかったみたいに平然と隣を歩いている…


ボングンとは違い僕はかなり動揺していた…







「元気だったか?」






「うん…

ボングンのことはテレビで見てたよ。

凄い人気だよね。」






「だけどサッカーのテクニックより違う方で目立っちまってカッコ悪りぃけどな?」






「そんなことないよ。ドリブルの速さはチーム内では群を抜いてるし、得点率も高いよね?

この間の試合なんて最後に難しいところからのボングンのパス回しが上手くいって点に繋がったから逆転勝ちできたんだし…」








「俺の試合…観てくれてるんだ?」







「えっ!ああ…うん。サッカー好きだし…」






恥ずかしい…まるでいつも見てますって言ってるみたいになっちゃった…







「そうか…」







ボングンは少し照れた様子で嬉しそうに笑っていた…



そんなたわいもない話をしながら駅前のシティーホテルに入っていく…


エレベーターに乗るとボングンは最上階のボタンを押した。


そこは夜景がとても綺麗な落ち着いたバーラウンジがある。


以前、接待で何度か来たことがあった。







「いらっしゃいませ…2名様ですか?」







「ああ、窓際の静かな席にしてくれ。」







「かしこまりました。こちらにどうぞ…」







案内された席は2人掛けのハイバックソファー。


天井から足元までガラス張りの窓に向かって配置してあるから目の前にはソウルの夜景が見渡せる…


ここはいわゆるカップル席だ…


接待の時は中央の普通の席で、ここには座ったことがない…


ソファーはゆったり2人が座れる広さなのになぜかボングンは僕の隣に膝同士がぶつかるほど詰めて座った…






「何飲む?

俺はウイスキーのロックで。」







「じゃあ僕も同じのを…」







「へえ…意外と酒強いんだ?」







「まあね…接待とかで飲む機会が多いし…」







「そうか…ドンジュももう会社員だもんな?

何か変な感じだな…」







「そうだよ…あれから5年も経ったんだよ…」







僕達はお酒を飲みながら互いに5年間に起きた出来事を話し出した…


はじめは酷く緊張していたけど、お酒を飲み始めると徐々に力が抜けていった…


仲良かったあの頃のように会話も進み、2時間ほど経った頃、2人とも程よく出来上がっていた…







「ボングン、ボングン…」






「何だよ。」






「ふふっ…呼んでみただけ。」






「ったく、この酔っ払いめっ!」






そう言って昔みたいに僕の頭をグシャグシャっと撫でた…


ああ…大好きだったあの頃のボングンがここにいる…







「だって…夢みたいで…

もうボングンとはこんなふうに話したりできるなんて思ってなかったから…

名前を呼んで返事が来るだけでも凄く嬉しくて…」







「………」







今まであんなに陽気に話していたのに急に黙り込んだボングンを見て、また何か失敗してしまったのかとサーッと酔いが覚めていく…


何か言わなきゃと思えば思うほど何も出てこない…


せっかく前みたいに話せるようになったのにまた元に戻ったらどうしよう…


そうなる前に帰ろう…その方がいい。







「ボングン…具合悪いならそろそろ帰…」







話終わる前に膝の上に置いていた僕の手の上にボングンの手が被さったかと思うとギュッと握られた…







「ドンジュ、ごめんな?」







さっきまで俯いていたボングンは顔をあげると僕をジッと見つめた…







「今日はどうしてもお前に会って謝りたくて来たんだ…

高校3年の時、俺の勝手な思い込みで酷いこと言ったり無視したりして…

俺、あの時はガキ過ぎてお前の家のこととか会社のこととか全然理解できなかったんだ…」







「うちは普通じゃないから理解できなくて当然だと思う…

だけど、あの時何でそんなにボングンが怒ってたのかよくわからなくて…」






そうだよ…あの時のキスの意味は何だったのか…


部室でのあの行動はただヤケになってたからなのか…


部室で遊んでやるって言った言葉は悪ふざけだったのかそれとも…







「本当にわからないのか?」







うん…って頷こうとした時、ボングンの長い指が僕の顎に添えられてチュッと唇に触れるだけのキスをされた…







「…っ…なっ…何でキスなんかっ…」








「好きだからだよ…

今もあの時も好きだからドンジュにキスをしたんだ。

初めて話したあの日からずっと好きだった…

お前も俺のこと好きなんだって勝手に信じてたから見合いしてるって聞いてショックでさ。

それで俺のこと好きじゃねーのかよって勝手に怒ってヤケになって…

自惚れてたんだよな…お前は何があっても俺を選ぶって思っていたなんて…

本当にごめんな?」







「…っ…うっ…」







「何で泣くんだよ…」







「…っ…だって…嬉しくて…」







「ドンジュ…」







ボングンの胸にすっぽりと包み込まれるように抱きしめられた…


あやすように背中をポンポンと叩きながら僕の頭にキスをしている…


ボングンも僕と同じだった…


僕のことを好きになってくれていた…それも初めて話したあの日からだなんて…


夢みたいだ…


目を開けたら覚めてしまいそうでこのままずっとボングンの胸の中でこうしていたい…







「あれからお前を諦めるつもりでいろいろ付き合ってみたけどみんなどれも違ってた…

ドンジュ…お前以外本気になれるやつは見つからないんだよ…

なあ…俺はどうすればいい?

お前の気持ち聞かせてくれよ…」







「僕は…っ…」







言いたくない…言ったら離れて行ってしまう…


離れたくない…離したくない…


だけど言わないと…


僕はボングンの背中に手を回して抱きついた…






「僕は…婚約してるんだ…

2ヶ月後に結婚する…」







「そうか…

やっぱりもう決まってたのか…

お前があまりにも可愛い反応するからさ、また俺、勘違いしちまったみたいだな…

お前が俺のこと好きなんじゃないかってさ…」







そう言うとボングンは僕の背中を叩くのをやめて僕から離れようとした…


僕はしがみつくように腕の力を強めてボングンから離れなかった。







「おい…ドンジュ…?」








「あの時の…部室で言ったこと…覚えてる?」







「部室?」







「遊んでやるって…男なら裏切ることにならないだろって…」







「あ…あれはさ…」







「いいよ…ボングンとなら…」







「何言ってんだよいきなり…」







「それとも…あれはからかっただけ?」







「お前…本気で言ってんのか?」







少し怒ったような呆れたような声でそう言われて僕は震えた声で「本気だよ…」と答えると身体をバッと離されてボングンはどこかへ行ってしまった…


僕は1人残され、目の前にあった飲みかけのウイスキーを一気に飲み干した…


婚約者がいてもうすぐ結婚するのに何てこと言ってるんだ?って呆れたのかもしれない…


それとも、真面目に告白しているのに遊んでくれなんて言われて怒ったのかな…


きっとその両方だ…








「ドンジュ、立てよ…」








腕を引っ張られた方を見るとボングンがいた…








「ボングン、帰ったんじゃ…」







「これ、持ってろ…

ほら行くぞ…」








渡されたのはこのホテルのカードキーだった…















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Cheering 〜覚めない夢〜 5

2016.10.26 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜












「ドンジュ、いつものカフェでいいのか?」







「あ…うん。お願い。

花は買ってある?」







「ああ、トランクに入ってるよ。」







仕事が終わるとすぐに婚約者が待つカフェにドンホの運転する車で向かっていた。


僕は今、大学卒業後シム不動産の後継者として働いている。


高校卒業後も仲良くしていたドンホは内定していた食品加工会社が入社前にいきなり倒産し、新たな就職先を探していた時に僕の第2秘書になって欲しいってお願いしたんだ。


僕はもともと人見知りだし、女性の秘書では余計に落ちつかない。


今の第1秘書のキムさんはもう60過ぎのおじさんだからいずれドンホが僕の第1秘書とし働いて貰えたらうれしいって伝えたところ、二つ返事で来てくれたんだ。


今はキムさんの見習いみたいな感じだから車の運転や雑用ばかりだけど、僕にとっては唯一信頼できる友人だから仕事以外のことも相談できるし一緒にいてくれてとても心強い。


今日は仕事が早く終わる予定だったので婚約者のチェリンといつものカフェで会う約束をしていたけど、仕事が押してしまって1時間ほど待たせてしまっていた…






「お前も大変だよな。

大学卒業したばっかりなのに会長が体調崩したからっていきなり社長だもんな…」






「仕方ないよ…僕しか血縁者がいないんだ…

社長って言っても今はまだ名前だけって感じで…

だから早く仕事を覚えなきゃって思ってるんだけどやることが多すぎて…

こんな時…父が生きてたらなって思うよ…」







父と母は僕が12歳の時に交通事故で亡くなっている。


父も一人っ子だったから孫は僕1人だけ…


こんな状況じゃなければもっと僕も自由に生きれたんじゃないかって思う時もある…


結局、去年婚約したチェリンさんは祖父が決めた相手だ。


高校時代、チェリンさんとは数回会ったことがある。


結婚相手の候補者の1人でホテルのロビーのカフェでお茶を飲んだけど、彼女のことははっきりとは覚えている…


4年ぶりに再開したのが婚約式だったなんて祖父のやることは相変わらず横暴すぎる…


婚約してからはこうやってたまにカフェで会っているけど、僕らはまだデートらしいデートもしたことがない…


結婚式は3ヶ月後だというのに…








「ドンジュ、本当にあの子でいいのか?」







「いいも何も…もう決まったことだし。

僕がどうこう言えないってドンホもわかってるでしょ?」







「ん…まあ…そうだけどさ…

何だかお互い結婚するって雰囲気じゃねーからさ…

それに心配なんだよ…あれは結構大変なんじゃないか?」







「うん…わかってる。」







ちょうどカフェの前に到着し、ドンホがトランクから花束を僕に渡した。


カフェに入り、いつもの席で待っていたチェリンさんは僕に気がつくとニコッと笑顔を向けた。






「遅れてすみません。」






「いいえ、連絡頂いてましたので、私も来たばかりですから。」






「これ、お詫びに…」






僕が花束を差し出すと…






「綺麗なお花…

ありがとうございます。でも、お気持ちだけで…

私…お花嫌いなんです。虫とかいろいろついてるでしょう?それに枯れていくのを見るのも気持ち悪くて…」






「ああ、そうでしたか…

気がつかなくてすみません…」







「いいえ、私が変わってるだけなので…

本当にごめんなさい…」







彼女は潔癖症だ…


夏でもいつも長袖に白い手袋をして帽子を被っている。


精神科に通って治療しているらしいけど、高校生の頃より改善しているのかどうなのか…


彼女が何が大丈夫で何がダメなのかも僕にはまるでわからない…


飲食店もどこでもいいわけではなく、ここのカフェは彼女の親が経営しているお店だから衛生面では信頼しているんだろう。


だから会うのはいつもこのお店。


お互いデートしたいって言うわけでもなく、ここで静かに話して別れるだけだ。



ドンホはそんな彼女のことを大変だって言うけど、正直、僕にとっては好都合だった…


チェリンさんは潔癖症のせいで僕との距離をあまり縮めたがらない。


そして僕もデートしたいとか、手を握りたいとか、キスしたいとか、チェリンさんだからではなく、女性に対してそういう衝動が全く起きないんだ…


こんな僕と結婚するなんて、それこそ彼女に申し訳なくて潔癖症くらい何てことはない。


意味は違うけどお互い良い距離感でいられるんじゃないかって…上手くいくんじゃないかって思っている。







「ところでドンジュさん。

今度の土曜日、うちに遊びにいらっしゃいって母が言ってるんです。

何か予定ありますか?」







「あ…すみません…

その日はサッカーの試合を観に行くことになっていて…」






「あら…母が残念がるわ…

でも、ドンジュさんって本当にサッカー観戦がお好きなんですね。

私はサッカーのことは全くわからなくて…

よくテレビに出ているチョン・ボングン選手くらいはわかりますけど。」






僕は彼女の口からボングンの名前が出てビクッと肩を震わせた。


ボングンは今や誰もが知る有名なサッカー選手だ。


最近ではCMやテレビ番組にもたまに出ているから知名度が高い。


それにあの人並み外れた容姿では周りがほって置くわけがなく、今度ドラマの俳優にも抜擢されたとか何とか…


だって高校生の時よりも数段かっこよくなっているんだ。


僕は行ける時には必ずボングンが出場する試合を観に行っていた。


雑誌に載れば必ず買い、テレビに出れば録画して何度も観た。


大学生になったばかりの頃はちゃんとボングンのことは忘れよう…忘れたいって思っていたんだ…


でも、徐々に試合に出るようになり、雑誌やテレビに顔を出すようになってからはまるでアイドルを追っかけているように情報収集をしていた…


忘れることなんて始めから無理だったんだ…


ボングンほど僕の心を揺さぶる人はいない…


もう会えないとわかっていても、どうにもできないと思っていても心はボングンだけを求めていた…








「でも、私は好きじゃないわ。

あの人、女子アナとかモデルとか、いろいろ遊んでるって噂が絶えないですよね…」








「それは…

噂だけで実際写真撮られたりはしてないし…

あれだけ有名で話題性がある人だから売名行為で寄ってくる人もいるでしょう。

だから全部が全部本当のことじゃないと思いますよ。」







「ずいぶんと肩を持つんですね…

何だかまるで知り合いみたい…」







「あ…すみません…

チョン・ボングンは良い選手なので…つい…」







「彼のファンなんですね。」







「はい…昔からファンなんです…」








そうだ。僕はファンなだけ…


遠くから見ているだけのただのファンだ。


ファンでいるだけなら誰も傷つけないし罪にはならないよね?


ボングンへの想い…それくらいの自由は許して欲しい…



















「あれ?今日は早かったな?」






「うん。チェリンさんが体調悪くなって…」







あれからしばらく話していると彼女の隣に座った人の香水の香りにあてられて具合が悪くなり早々に帰ることになった。







「送って行かなくていいのかよ。」







「1人で大丈夫って言うから。

彼女も車またせていたし。

それにこの車には乗らないよ…」








「あ〜そうだった。

あのお嬢様、がっつり消毒済みの車しか乗らないもんなぁ〜

あそこの運転手、大変だよな…」







「そうかもね…」







「でもさぁ…ああっ!そうだ!」






ドンホは車を運転しながら一瞬僕の方に振り返った。






「ちょっと!危ない!前向いてっ!」







「あ〜悪い、悪い。

さっき、ミンスから連絡があったんだよ。

来月にうちの高校の英語科の同窓会やるってさ!」






「同窓会…」






「高校の同窓会なんて初めてじゃね?

ドンジュ、もちろん行くよな?

俺、マドンナだったウンソに会いてぇ〜し絶対に行く!」







「行かない…」







「えっ?何でだよ。

土曜日の夜だから仕事無いし大丈夫だぞ?」







「僕は…行かないよ。」







「それって…ボングンが来るかもしれないからか?」







「………」







「お前がボングンの試合をいつも観に行ってるのも知ってるし、あの時部室でボングンに虐められてたわけじゃないことくらい俺だってわかってたよ。

そろそろ何があったのか話してくれないかな?

俺、お前の秘書としてずっと一緒にやっていくんだからさ…な?」







「ドンホ…っ…」







僕は車の中で泣いた…


今まで言えなかった想いを全部ドンホに泣きながら話した…


ドンホはそれをずっと『うん、うん』と優しく聞いてくれた…












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Cheering 〜覚めない夢〜 4

2016.10.25 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜











あれから1週間もしないうちに夏休みに入った。


ボングンはクラブチームの長期合宿に参加するため、次の日から学校に来なかった。


だから僕とボングンはあれ以来話をしていない…


夏休みは受験勉強に明け暮れてあっと言う間に終わってしまった。


でも勉強の合間に暇さえあればずっとボングンのことを考えていた。


あの時…どうしてもボングンの名前を言うことが出来なかった…


僕は臆病だ…


同性を好きだという後ろめたさや…


家族の期待を裏切りることに対しての罪の意識…


何より自分の今の状況が変わってしまうことを恐れた…


あんなに好きだ好きだと思っていながら、僕はまだ子供で、いざとなったら怖気づいてしまったんだ…


キスされた時…嬉しいよりも驚いたし、少し怖いと思った…


あれって…本当にキスだったのかな?なんて思うくらい、まるでぶつけられたような事故みたいなキスだったけど…


ボングンは何であんなことしたんだろう…


あの時は僕のことが好きなのかもしれないって思ってしまったけど、ボングンから好きだって言われたわけでもないし、もしかしたらただ僕に好きな人がいるなら諦めて見合いなんかするなって言いたかっただけだったのかもしれないし…


時間が経てば経つほどあの時のボングンの態度がよくわからなくなってきた…


だけど、ボングンのことが好きだと打ち明ける勇気もないのに真意を問いただすなんてことできない…


学校が始まったらまたいつもみたいに笑って話ができればそれでいい…


結局、僕のボングンへの想いはその程度だったのかもしれない…























「あいつ、一体どうしたんだ?」







放課後、ドンホが僕のところにきて呆れたようにそう言った。


視線は窓際で女子に囲まれているボングンに向けられている…


夏休みが明けてからのボングンは周りが驚くほどすっかり様子がかわってしまっていた。


髪を明るく染め、耳にはピアスをし、爽やかな硬派イメージから一転、チャラチャラした軟派なイメージになっていた。


以前ならボングンに寄ってくる肉食系な女子をサラリとかわしていたのに所構わず肩を組んだり頭を撫でたり膝に座らせたり…


見るに堪えない光景…胸が痛くて堪らない…


夏休み中、一体何が起こったんだろう…







「ドンジュ、お前何か聞いてないのか?」







「うん…夏休み明けてから話してないから…」







「お前もか…

俺もどうしたのか聞こうとしたら『ほっとけよ』って言われてさ、ムカついてそれから話してないんだよ…」







「僕も避けられてるみたいで目も合わせてくれないんだ…」







「あんなにお前のこと気に入って構ってたくせにどうしちまったんだろうな…

ったく、あんなあからさまに入れ食いアピールいらねーだろ?

やっぱりプロになるからっていい気になってんじゃね?」







「えっ?プロって…?何のこと?」







「あいつ、高校卒業したらプロリーグの2軍に入るって先生達が話してるのを聞いたやつがいてさ…

夏休みにプロテストでも受けたのか、スカウトでもされたのか…

噂だから本当か知らねーけど…」







ボングンがサッカー選手に…


もし、それが本当だったら凄く嬉しい…


サッカー選手になるのが夢だってずっと言ってたし、そのためにかなり努力していたことも知ってるから。


ボングンの口からちゃんと聞いておめでとうって伝えたいのにあんな女子が周りにいたんじゃ近寄ることもできない…









「なあドンジュ、ボングンと話してみてくれよ。

お前になら何があったのか話すかもしれねーし。」








「話したいけど…あの状況じゃ無理だよ…」








「あ…お前女子の集団苦手だもんな?

大丈夫、大丈夫、俺にまかせろ!」







「ちょっ…」








ドンホは僕の腕を掴むとボングンの前まで連れていった。








「ボングン、ドンジュが大事な話があるんだって。」







取り囲んでいた女子がボングンと共に一斉にこっちに視線を向けた…







「何?」







「えっと…その…」








「ドンジュはお前と2人っきりで話したいんだって。な?そうだろ?」








「う…うん…」








「わかった…」








ボングンは立ち上がると教室を出て行った。








「ほら、ドンジュ早くついて行けよ!」








ボーッとしていた僕はドンホに背中を押されて慌ててボングンについて行った。


一階に降りて渡り廊下を歩いていく。


この先にあるのは運動部の部室…


ボングンはサッカー部の部室の鍵を開けて中に入った。


少し薄暗い室内には独特の匂いが充満していた…



今日は全ての部活が休みの日だから誰もいない…







「大事な話って何?」








「あ…あのさ…

大事な話ってドンホが言ったけど、大事な話っていうか、聞きたいことがあって…」







「何が聞きたいの?」








「えっと…

サッカー選手になるって…本当?」








「ああそれね…

まだ正式には決まってないけど、そういう話が出てる。」








「すっ…凄い!良かったね!おめでとう!」







「だから、まだ決まってねーし。

聞きたいことってそれだけか?そんなら俺、もう戻るわ…」







「ちょっ!ちょっと待って!」







戻ろうとしたボングンの腕を掴んで引き止めた。








「夏休みの間…何かあったの?

なんか…ずいぶんと変わっちゃったから…

女子とばっかりいてどうしたんだ?ってドンホも心配してたし…

その…あんなにベタベタするとかボングンらしくないっていうか…」







「俺がモテるのなんか前からだろ?」







「そうだけど…」








「適当に遊んでるだけだよ。

好きな奴にも降られたし、別にいいだろ。」







「振られたって…1年の時に好きな子いるって言ってたけど…その子?」







「ああ。両思いかと思ってたら向こうは大して俺のこと好きじゃなかったんだ。

なんかいろいろ馬鹿みて〜だなと思ってさ。」







「だからって…好きでもないのに遊ぶって…」







「何?好きでもない奴とは寝るなって言いたいの?」






「…………」







「お前だって好きでもない奴と親の言われるままに結婚するんだろ?

同じじゃねーかよ。

もう相手は決まったのか?そいつともう寝たの?」







「しっ…しないよっ!

結婚もしてないのにそんなこと…」







「あははっ!今どきそんな奴いるんだ!

それとも、それも親に言われたわけ?」







「違うっ…

僕は…ただ相手に対して誠実でいたいだけで…」








「ふ〜ん…誠実ね…

じゃあ、結婚まで他の女とも遊ばないわけだ?」








「あ…当たり前だろ!」








「じゃあさ…」








「わっ!」







ボングンは僕の肩を勢いよく押した。


その勢いですぐ後ろにあったソファーに倒れるように仰向けになって…


そこにボングンが僕を跨ぐように覆いかぶさる…







「男ならいいんじゃねーの?」







「えっ…ボンッ…んんんっ…」







キスされた…


この間のぶつけるようなキスじゃなく、舐めるようないやらしいキス…







「やっ…やめっ…んっ…」







両手を掴まれて上に乗っかられているから全く身動きが取れない…


散々キスされて、やっと唇が離れた…







「ボングン…な…何でこんなことするの?」








「結婚するまで何にもできねーなんて可哀想だから俺が遊んでやるよ。

相手が女じゃなきゃ裏切ったことにならないんじゃねーの?童貞のままならいいんだろ?」






そう言いながら僕のシャツのボタンを開けていく…


僕は慌ててボングンの両手を掴んで…








「友達同士で…こんなのおかしいよっ…」







「友達?

俺はお前のこと友達だなんて思ったことねーし。」







言葉が出なかった…


ずっと仲良くしていたつもりだったのに…


ショックで呆然としてるとシャツのボタンは全て外され、ボングンの手が首筋から胸にゆっくりと降りてきて…







「やっ…いやだっ…」







「嫌って…こんなに抵抗してねーのに?」







そう言われてカッと真っ赤になった…


驚いてはいるけど、ボングンにさわられることが嫌なわけじゃなかった…


むしろ、ドキドキしてる…


だけど駄目だ…こんなのいけない…








「ボングン駄目だよっ!こんなことしたくないっ!」








僕はジタバタと暴れだし、ボングンも負けずと僕を押さえつける…







「俺だって…こんなことしたくねーのに…」







小さくボングンがそう呟いた時…








「ボングンッ!お前何やってんだよ!!」








急に部室のドアが開いてドンホがボングンを僕から引き離した。







「なかなか出てこないから気になって覗いて見れば…

ボングン、お前どうしちまったんだよ!」







ドンホが僕を起こして心配そうに肩を抱いてくれた…






「うるせーな!

俺は前からこんな奴だよ!またこんなことされたくなかったら近寄ってくんな!」







そう言い捨てると部室を出て行ってしまった…







「ドンジュ、大丈夫か?殴られたりしなかったか?」






「大丈夫だよ…心配しないで…」







「あいつ…本当にどうしようもねーな…」







「きっと…僕が気に触るようなこと言っちゃったんだよ…

だからボングンのことそんなに怒らないで?」








「ドンジュ…お前って本当にいい奴だなぁ…

もうボングンに虐められないように俺が守ってやるからな?」







「う…うん…」








やっぱり勘違いだった。


友達とさえ思っていない僕のことなんて好きなはずないのにもしかしてだなんて…


ボングンがこんなことしたのは好きな子にフラれてヤケになっていたから…


なのに…嫌じゃないなんてどうしようもないのは僕の方だ…


遊んでやるって言われて一瞬でも期待してしまった…


ちゃんと好きって言えもせず、自分の立場を変える勇気がないからってこのまま強引に…ボングンのせいにして奪ってもらいたかったとか…


相手に誠実でいたいだなんて嘘だ…


ただ単に女の子に興味がないからなだけ…


ボングンが女の子と遊んでるって聞いて死ぬほど嫌だった…


そんな子と遊ぶくらいなら僕と…って思ってしまったんだ…


本当に僕は卑怯で弱虫だ…


またこんなことがあったら次こそは抵抗できないと思った…


もし、そんなことしてしまったら一生忘れられなくなってしまう…


そんなの…辛くて苦しいだけだ…


だから僕もこの日を境にボングンを避けるようになった…


そして、一言も話さないまま高校を卒業した…

















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Cheering 〜覚めない夢〜 3

2016.10.22 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜












ボングンとは高校の3年間、同じクラスだった。


1年生の時に仲良くなってからずっと変わらずに学校ではいつも一緒にいた。


僕の中でボングンの存在は更に特別になり、ボングンもまた他の友達よりも優先するように僕を構ってくれた…


ボングンにとって僕はあくまでも仲の良い友人…


でも僕は違った…


大きくて綺麗な長い指に手を絡めるように握りたい…


肩にコツンと頭を凭れて広い背中に抱きつきたい…


そしてそのポテッとした赤い唇に触れてみたい…


友達のふりして僕の中ではこんな感情が渦巻いている…


なんて浅ましいんだろう…


でもちゃんとわかってるんだ。そんなこと求めてはいけない…こんなに一緒にいられて仲良くなれただけで十分幸せなんだから…って…


そう思うようにして気持ちが溢れないように抑えていた…


もっとも、僕にはそんな願望を実行できる度胸なんかなかったけど…




高校3年になってもボングンは相変わらず…いや、以前よりまして女子から人気があったのに、まだ彼女はいなかった。


これだけモテるならいても当たり前なのに仲良い女友達はいてもそれ以上の関係になることはない。


ノリが軽い割には意外と硬派なタイプだとそのギャップにボングンを好きになる女子は増え続ける一方だった…


一年生の頃に聞いた片思いの相手は未だわからないまま…


まだその子のことが好きなのか、諦めたのか、他に好きな子ができたのかは知らない…


知るのが怖くてずっとそういう会話はわざと避けていたから。


あの日…僕はボングンに好きな子がいると知った時からいつ『彼女が出来た』って言われるか恐れていたんだ…


だけど高校2年の夏にサッカーの試合でプロリーグの人に目をつけられ、学校が終わった後や休みの日はクラブチームでの練習で忙しくしていて全くそれらしい気配はなかった…


ホッとする反面、ますます僕の欲求が大きくなり苦しくなっていくばかりで…


あっさり彼女でも作ってくれたらこんなに長く…深く好きにならなくて済んだかもしれないのに…なんて勝手なことを考えたりもしたけど…


やっぱり嫌だ…ボングンに彼女が出来るなんて考えただけでも泣きそうになる…


本当に僕はどうしようもないな…


でもいつかはそんな日が来るんだ…


その時、僕はきっと笑って『良かったね』なんて言えないだろうな…


だから今だけ…もう少しだけ一緒に笑っていて欲しい…


そう思っていたのに…


それを壊したのは僕の方だったんだ…







高校3年の夏休み前…


僕は祖父にある会社のパーティーに連れて行かれた。


そこで紹介された数人の同年代の女の子…


パーティーが終わってから聞かされたのはその女の子達は僕の結婚相手の候補者だということだった…


今からゆっくりその中から気に入った子を選んで大学在学中に婚約、大学卒業と同時に結婚と、もう僕の人生は決められていた…


そうなることは何となくはわかっていたし、受け入れるしかないと思っていた。


いい機会なのかもしれない…


僕はボングンが好きだけど、男同士でどうすることもできないこともわかっていたし、このまま決められた道に進むことでボングンに彼女が出来ても引きずらずに諦められるんじゃないかってそう思ったんだ…


僕は学校が休みの日には言われるままに指定されたホテルのロビーにあるカフェで女の子達と会って話をした…


会っていても結婚相手の候補者だなんて実感はないし、全く興味ももてなかった。


女の子と話すのは苦手だったけど、祖父の知り合いのお嬢さんだからと相手に失礼のないように振る舞うよう努めた…まるで仕事みたいに…


その様子をカフェでバイトをしていたうちの学校の生徒に目撃されてあらぬ噂を流され、それはあっと言う間に学校中に広まり、ボングンの耳に入るのにそう長くはかからなかった…








「ドンジュ、ちょっと来い!」







昼休み、ボングンに手首を掴まれて連れていかれたのは普段誰も来ない真夏の屋上…


ジリジリと刺すような陽射しを浴びながら僕に背を向けたままじっと動かない…


明らかに怒っているその背中に向かって恐る恐る声をかけた…







「ボングン…どうしたの?

こんなところに連れてきて…」








「あの噂…本当なのか?

お前が代わる代わるいろんな女とホテルに行ってるって…」







振り向いたボングンの表情は険しかった…それは太陽の眩しさのせいだと思いたかったけど、残念ながらそうじゃなさそうだ…


まさか疑っている?…ボングンまであの噂を信じて僕のことを軽蔑して怒っているの?


だとしたらショックだ…







「噂は本当だよ…」







「ドンジュ!おまえっ…」







「…っ…ボングン…痛いよっ…」







両腕を捕まれて壁に思いっきり押し付けられた…


掴まれた腕が痛い…


何でこんなふうにボングンに怒られなきゃいけないの?変な噂を流されて困っていてるのは僕の方だよ?


僕が女の子と話すことすらままならないって知ってるくせに!


そんなことできないことくらい分からないの?


ボングンなら優しく『大丈夫だよ。あんな噂信じないからな?』って言ってくれると思っていたのに…


ボングンは悪くないのはわかっているのに持って行き場のないボングンへの想いについイラついてわざと煽るように『噂は本当だよ』だなんて肯定的な言葉を言ったのが間違いだった。


まさかこんなに怒るなんて…







「お前…誰でもいいのかよ…」







お互いの額がくっつきそうな程の近さでボングンが僕を睨みつける…


酷い台詞を吐きながらこんな怖い顔してるを見るのはツラくて悲しかった…







「そうだよ…誰でもいい…」








「お前はそんなことできるようなやつじゃないだろ?何でそんな嘘つくんだよ!

本当のことを言えよっ!」








誰でもいいのは本当だよ…


だってボングン意外なら誰でもいいんだ…


ボングンしか欲しくない…ボングン以外いらない…


だけど…ボングンは僕のものにはならないんだから…


もう何だっていいんだ…








「僕がいろんな女の子とホテルのラウンジでお茶を飲んでいるのは本当だよ。

みんな僕のお見合い相手なんだ…

大学卒業後に結婚するために祖父が選んだ何人かの中から誰か選んで大学在学中に婚約することになってて順番に会って話してるだけだよ。

だから噂みたいな変な関係じゃない…」







「はっ?見合い??」







驚いて…でも少しホッとしたような表情で僕を見つめる…


だけどあまり間を置かずにまた顔が険しくなっていく…







「…だけど見合いって、まだ高校生なのに早すぎるだろ?」






「祖父は古い考えの人だからね。

お互い悪い虫が付く前に相手を決めておいた方がいいって考えでさ…

きっと会社のことも関係してると思う。

父の時もそうだったみたいだし…」







淡々と話す僕にボングンは顔を歪めた…







「お前はそれでいいのかよ…

好きでもないやつと結婚するのか?」







「仕方ないよ…

僕はそのために産まれたようなものだし。」







「仕方ないって何だよっ!

お前の人生はお前のものだろ?

何でそんなに簡単に諦めるんだよ!」








「いいんだよ…

僕には今の生活や家族や会社のことを全部捨てる勇気も力もないし、どうせ好きな人と付き合うことすらできないんだ。

だから無駄に悩んで苦しむより諦めた方が辛くないから…」







「ドンジュ…お前さ…好きなやついるんだろ?

そいつのことも諦めんのかよ…」








好きなやつって…いきなり何?


僕はボングンに好きな人がいるなんて話はしたことないのに…


だって話せる訳がない…相手は本人なんだから…








「な…何言ってるの?好きな人なんて…そんな人いない…

何で急にそんなこと…」







「いるんだろ?

そいつと付き合えないから諦めて見合いするつもりなんだろ?」







「だからいないって言ってるのにっ…んっ…」







両頬を手で強く抑え込まれてボングンの唇が僕の唇を押し付けるように重なった…


一瞬何が起こったのかわからなかったけど息が苦しくなってボングンの胸を思いっきり押して離れた…






「…っ…何っ?!」







今…キス…した?ボングンが僕に?


何が何だかわからない…







「さっき誰でもいいって言ってただろ?

だったら俺でもいいんだよな?」







どういう意味?キスしてそんなこと言うなんてっ…


驚いていると今度はギュッと抱きしめられた…








「ボングン??…」








「ドンジュ…言えよ…」







「な…何を…」







「お前がずっと想ってるやつの名前…言え…」







もしかして…ボングンは気がついてた?


僕がずっと好きだったってこと…


まさかボングンも…僕のことを?


だとしたら今…ボングンの名前を言ったらどうなるの?


何かが始まるの?それとも終わる?


僕はどうなる?ボングンは?







「お前が選ぶんだ…」







選べって…ボングンか家かってこと?


そんなの…そんなのボングンに決まってる…


決まってるのに…僕は…







「いない…

好きな人なんて…いないよ…」








「ドンジュッ!俺は…」








胸ぐらを掴まれ、その勢いに目をギュッと瞑った…


数秒後、その手がパッと離れて…








「わかった…もういい…」








そう吐き捨てるように言うとボングンは扉の向こうに消えていった…
















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Cheering 〜覚めない夢〜 2

2016.10.21 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜












「なんだお前、泣いてたのか?」








「……………」








いくら涙を拭っても赤く腫れた目元を見られたらバレバレだ…


ボングンも驚いた顔してこっちを見てるけど、もうそんなことはどうでもいい…早く終わらせたい…








「カメラ…返して…」








「ああ、そうだった。」







ボングンは自分の鞄からカメラを取り出して僕に手渡した。


そしてまた鞄に手を突っ込むと僕が盗撮したボングンの写真を目の前に差し出され…








「これもお前のだよな?」







ああ…また責められるんだ…と覚悟して頷きながら受け取ると…








「全部見たよ。

お前の撮った写真、プロみたいだな。

俺が持ってた盗撮した奴の写真と全然違った。

犯人はお前じゃない…そうだろ?」








「え…」








「疑って悪かったな…

そもそも、お前みたいな金持ちが小遣い稼ぎに写真売るとかねーよな。」







「うん…売ったりしてないよ…」








「だよな。ホント、ごめんな?

それより、なんだこの部屋!俺んちのリビングより広いんだけど。

自分の部屋にグランドピアノがあるとかさ…」







そう言って何事も無かったようにキョロキョロと部屋を見回している…


誤解が解けて笑顔で話すボングンを見てホッとしたけど、よく考えたら僕の部屋にボングンがいるとかあり得ない光景に違った意味でドキドキとまた鼓動が速くなり始め、軽く吐き気までしてきた…


目まぐるしく変わる状況と感情についていけない…


本棚を眺めていたボングンの後ろ姿をジッと見つめていると急に僕の方に振り返って…







「でもさ、お前何で俺の写真あんなに撮ってんの?

もしかして俺のこと好きなわけ?」








あまりの直球に一瞬でサーッと血の気が引いた…


冗談っぽく笑いながら軽く言ってるけど、冗談になってないし…


それだけは絶対に知られたくない…







「ち…違うよっ!

カメラに望遠レンズ付けて覗いたらたまたまチョン君がサッカーしてて…

みんなの中で一番動きが早くて、動く被写体を撮る練習にちょうど良かったからで深い意味はないよっ…」







かなり苦しい説明…


でも、一番動きがいいのは本当。ボングンはサッカー部の中でずば抜けて上手かった…そして誰よりかっこよくて輝いていた…







「ふ〜ん、たまたまね…」







あまりに必死な僕を見てニヤニヤと笑いながらこっちに向かって歩き出す…


一歩一歩近づいてくる姿にさっきからの動悸と吐き気が更に酷くなって…







「おっと!大丈夫かよ。」







一瞬、目の前が真っ暗になったかと思えば次の瞬間、ボングンが僕を抱きとめるように支えていて…


ボングンの肩に僕の顔を埋めているこの状況にまた気が遠くなってガクッと腰が抜けた…






「そういや具合悪いって家政婦の人が言ってたよな…ほら、座っとけよ。

あ〜あ、写真が…」







ボングンは僕をゆっくりベッドに座らせると足元に散らばった写真をしゃがんで1枚1枚拾いだした…








「なあ、俺いいこと考えたんだ。」







拾った写真を眺めながらボングンはニヤッと笑った。







「この写真、俺にくれない?」







「いいけど…」







「この写真を1枚500ウォンで売ればあんなヘタクソな写真を5000ウォンで買う奴いなくなるだろ?

知らない奴に売られるのは腹立つから自分で売ってやろうかと思ってさ。

お前の撮った写真綺麗だし、俺かっこ良く写ってるし。絶対売れると思うんだなぁ。」






いきなり何を言い出すのかと思えば…







「自分で…自分の写真売るの?」







「そう。名案だろ?」







一瞬呆気にとられたけど、そのドヤ顔に笑ってしまった。


だって、自分で自分の写真を売る人なんて聞いたことない…それもかっこ良く写ってるとか…天然??


ボングンってこんな砕けた人だったんだ…


もっとクールで近寄りがたい硬派なイメージだったのに、豪快というか大雑把というかお茶目というか…






「お前、笑うと可愛いじゃん。

なんかイメージ違うし。」







「えっ…えっ?!」







それはこっちのセリフ…なんて思った瞬間、いきなり前髪を掻き上げられて固まってしまった…







「目もでっかいしさ、美形なのに何で前髪で隠してんの?もったいねー。」







もったいないの意味がわからないけど、それより顔と顔の距離が20センチくらいしかないしっ!


触られた髪や額から伝わるボングンの体温にボッと音がしたかのように反応してきっと顔はゆでダコだ…






「あははっ!顔真っ赤!ほんっとお前おもしれーな!」







おちょくられてるのはわかっているけどこうしてボングンと一緒に笑い合えるなんて思ってもみなくて、さっきまでのショックは何だったんだってくらい幸せで…


ますますボングンが好きになってしまったんだ…



























「よっ!ドンジュおはよ〜!」








「あ…おはよう。ボングン…」








2学期が始まってからはボングンはやたらと僕に話しかけてきた。


ボングンの仲間も始めは僕に話しかけるのを見て何事か?と思ってるような感じだったけど、段々と僕もボングンの仲間に受け入れられてみんなとも仲良くなっていった…







「ドンジュ、今日放課後付き合えよ。」








「あ…でも今日は家庭教師が来る日で…」








「お前、ほとんど毎日家庭教師じゃん。1日くらいサボっちまえよ。

お前が撮った俺の写真、全部売れたんだよ。だからその金で何か食いに行こうぜ!」








「え〜〜!なになに〜?ボングンの奢り?俺も行きたい!奢って奢って!」








「うるせ〜なドンホ!今日はドンジュと2人で行くんだから邪魔すんなよっ!」








いきなり割り込んできたドンホが僕の肩に手を置くと、その手をボングンが掴んで軽く捻り上げた。







「あ〜!ボングンわかった、わかったよ!

デートの邪魔は致しませんよっ!離せ離せっ!」








「ったく。マジでついてくんなよ?

で、ドンジュ、行けるよな?」








デート…


そんなの冗談だってわかってるのに嬉しい…


僕は家に電話して家庭教師の時間を2時間遅らせて貰って行くことにした。


こんなふうに2人っきりで放課後寄り道するのは初めてだった。


ボングンについて行った場所は駅前のファーストフード。一度来てみたかったお店だ。


僕は嬉しくて店内に入ると明るい通り沿いの窓際の席にささっと座った。








「ドンジュ、何してんの?」







「何って…ボングンは座らないの?」







「は?」







「あれ?メニュー置いてないね…

すみません!メニューお願いします!」







そう言いながら店員に向かって上げた手をボングンに握られて下ろされた…







「ぶっ!あはははっ!!

もしかしてお前、こういう店初めて?」







ボングンはしばらく笑い続け、店の人からは変な目で見られた…


どうやらこの店は自分で注文を取りに行くらしい…


うちは家族で外食自体あまり行かないし、行くとしたら会社関係のパーティーやら親戚関係の集まりとかでこういったお店は友達とも行ったことがなかったし…







「あ〜〜すげ〜真っ赤!」







間違えて恥ずかしかったのもあるけど、この真っ赤な理由はボングンがいつまでも僕の手を握りながら笑ってるせいだなんて言えない…


それも指と指の間に交互にボングンの指が差し込まれてる…


これって恋人繋ぎってやつだよね?


手を上げている僕の手にとっさに上から掴んだからそうなっちゃったんだろうけど、指と指がものすごく密着していて心臓に悪いよ…


恥ずかしくて動けなくなった僕に、ここで待ってろよ?とボングンが注文しに行った。


僕は俯いてさっき握られていた手をジッと見つめていると小ハンバーガーや飲み物を乗せたトレーを持って戻ってきたボングンに頭をクシャッと撫でられた。






「いつまでも気にすんなって。

ほら、売り上げ金全部使っていろいろ買ったから好きなの食えよ。」







「うん…ありがとう…」







いつまでも消えない手の感触にドキドキが止まらない…


それでも変に思われたら困ると思って目の前にある大きなハンバーガーを手に取りかぶりつこうと口を開けたけど、端っこをちょっとかじっただけで口に入らない…







「もしかして、かぶりつくとかも初めてとか?どんだけお坊ちゃんなんだよ。

そんな小さい口じゃ入んねーよ。ほら、こうやるんだよ…」






ボングンは見本を見せるかのように思い切り口を開いてガブッとかぶりつくと口の端からポロポロと玉ねぎや野菜が落ちて、噛んだ時に飛び出したケチャップは口の端にはみ出してベチョッとついている…







「あっ!ボングン、服に溢れてちゃうっ!」







僕は慌てて口の横から垂れ落ちそうなケチャップを指で拭き取ると…







「っ…!!/////」







ボングンはケチャップのついた僕の指をぱくっと口に入れて指をペロッと舐めとった…


あまりにビックリして手を引っ込めてフリーズしていると…







「あっれぇ〜?ボングンとシム君?」







名前を呼ばれた方を見ると、同じクラスの女の子2人がこっちにやってきた…








「2人でだなんて珍しいね!

シム君もこういう店に来るんだ〜!意外〜!

私たちもここに座っていい?」







「ダメ。こっち来んな。」







「何それ〜、ボングンってばシム君独り占めにする気?」







ボングンは女子といつものように話し始めた。


僕は人見知りな上に女の子と話すのが物凄く苦手だった…


つい身構えてしまい視線も外してしまうくらい…


ボングンは男女分け隔てなく話ができるし、男らしくてカッコイイからモテるんだよな…


しょっちゅう告白されてるみたいだからいつ彼女が出来てもおかしくない。


逆に未だ彼女がいない方が不思議なくらいで…


もしかして、好きな子でもいるんだろうか…








「おいドンジュ?どうした?ぼ〜っとして…」








ハンバーガーを見つめて考え事をしているうちに女の子達はいなくなっていた。








「あれ?女の子達は?」








「とっくに追っ払ったよ。」








「そっか…」








「何だよ、急に元気なくなってさ…

もしかしてあいつらと一緒に食べたかったとか?」








「違うよ…

ただ、ボングンは会話も上手くてモテるなぁって…

僕なんていつも話もまともに出来なくて情けなくてさ…」








「お前は女子となんて喋らなくていいよ。

それでなくてもモテるのにこれ以上何もすんなよ?」







「えっ?モテるって僕が?」








「ドンジュ、お前って本当に鈍いよな。

今の奴らもお前狙いだったろ?」








「そんな訳ないよ。だって全然話しかけられなかったし、話したこともないし…

僕なんてモテたことなんてないよ…」








「あのなぁ…

成績は学年トップ、家は超金持ちでその上この顔とスタイルでモテないとかありえねーだろ?

高嶺の花過ぎてみんな近寄れないんだよ。

お前の話しかけるなオーラ半端ないし。

これで気さくに会話なんてしてみろよ。毎日鬱陶しいくらい女寄って来るぞ?」








「それは…困る…」








「なんだそれ。モテるのが困るって…お前ホント変わってるよな?」







そう言ってあはは〜って豪快に笑ってる…


だって…僕はボングンが好きだから他の子なんて興味ないんだよ…


ボングンは…どうなんだろう…やっぱりモテるのは嬉しいよね…


でも、モテるのに彼女作らないってやっぱり好きな人いるのかな…凄く気になる…







「ボングンは…校内で写真が売れるくらいモテるのに何で彼女作らないの?

もしかして…好きな子でもいるの?」








「ああ、いるよ。」








ズキッと胸に何が突き刺さったような痛みが走った…


好きな子なんていないよって言葉を期待したけどやっぱりいるんだ…聞かなきゃよかった…


何か言わなきゃと思うのにショックで何を言っていいのかわからない…







「ドンジュ、お前はいるのか?好きなやつ…」








ボングンだよって言いたい…


僕が初めて好きになった人はボングンなんだよって…


だけど、そんなこと絶対に言っちゃダメなんだ…


ボングンには好きな子がいるし、僕は男だし…


言えるわけがない…








「い…いないよ…」







「ふ〜ん…いないんだ。」







「うん…いない…

ボングンは…その子とは付き合わないの?」







「付き合いたいけど残念ながら片思い中だよ。」







「片思いって…まさか振られたとか?

その子…彼氏でもいるの?」







「いや、いないし振られたわけでもないけど…

そんな簡単な相手じゃないからさ。」







ボングンが片思いする子なんてどんな子なんだろう…


きっと可愛くて綺麗で優しくていい子なんだろうな…


でも、もうこれ以上は聞きたくなくて話題を変えた…


知ったところで傷いて辛くなるだけだし、僕の片思いは初めから永遠に叶うことはないんだから…


わかっているのに何で気持ちが止められないんだろう…


僕のボングンへの思いは加速していくばかりだった…

















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Cheering 〜覚めない夢〜 1

2016.10.20 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜
※ このお話は「cheering→cheering〜moving on」の番外編になります。
まだ読んでない方はこちらの作品を読む前にそちらからお読み下さい。

ユノ、チャンミンに瓜二つなドンジュパパとボングンパパのお話です。

私の中ではユノ、チャンミンのイメージで書いてます。

まだ携帯電話もデジカメも普及していない高校時代のお話から始まります。















ボングンを初めて見たのは高校の入学式の日。


僕は新入生代表の挨拶のために壇上に上がった。


暗記してきた挨拶の言葉をぐるぐると頭の中で唱えながら見下ろすと、最前列に頭ひとつ出ているのに小さく整ったその顔に一瞬ドキッと胸が弾んだ。


同じ一年生にしては大人っぽい顔立ち…


切れ長の目にスッとした鼻筋…


男に対してかっこいい…ってその時初めて思ったんだ。


僕はその時からボングンのことが気になり始めていた…


偶然にも僕もボングンも英語学科の同じクラス。


だけどボングンは社交的な性格の上、クラスには中学が同じだった友達が沢山いたようだったし、サッカー部のボングンと、写真部の僕では共通点もなかったから話す機会が全くなかった…


あっと言う間に男女共に学年1の人気者になっていったボングンと、地味な僕では友達になるなんて絶対に無理だと思っていた…


それに…僕はボングンと友達になりたいのかもよくわからなかったし…


ただ…ボングンが気になってつい目で追ってしまうだけ…


それがどうしてなのかも深く考えもしなかった。










ある日…


写真部の部室で僕が新しく買ったカメラを鞄から出していると…






「シム、凄いな…それ買ったのか?!ちょっと見せて?」







「あ…はい。」







写真部に入ってしばらくすると愛用していたカメラが壊れてしまい、僕は新しいカメラを買ったんだ。


カメラ屋さんの言われるままにいろいろつけたオプションの中に望遠レンズがあって、それを部長がスゲースゲー言いながら取り付けると窓から校庭をそのカメラで覗きだした。







「やばっ!こんな大きく見えるんだ!

シム、お前も見てみろよ!」






そう言ってカメラを渡されて言われるがままに覗いて見ると…







「わあっ!」







「な?凄いだろ?」







「近っ…す…凄い…」







カメラを覗いて真っ先に見えたのは校庭でサッカーをしているボングンの姿だった…


僕は思わず夢中でシャッターを押していた…


ボングンのサッカーをしている姿は教室にいる時の何倍もかっこよくて美しかった。


そしてそのキレのある動きに見惚れてしまった…


憧れ?それとも被写体として魅力的だから?…とにかく美しいものに弱いのかも…だなんて、この時はこの感情の意味がまだよくわかっていなかったんだ…





それからは時々みんなにわからないように望遠レンズをつけてボングンがサッカーをしている姿の写真を撮っていた。


盗撮行為…


わかっていてもボングンのサッカーをする姿があまりにもカッコ良くてどうしても撮らずにはいられなかった…


写真を撮るたびに僕はますますボングンに魅了されていった。


まだ一度も会話すらしたことがないというのに…





そして1年生の夏休み。


写真部の部活は自由参加だというのに、僕はサッカー部の練習がある日はほとんど登校していた。


こんな暑い中、学校に来る写真部員は僕1人だけ…でもその方が都合が良かった。


だって、周りを気にせず好きなだけボングンの写真を撮ることができるから…


いつものように窓から写真を撮っていると、ボングンがいきなり動きを止め、こっちの方向をジッと見つめているように見えた…


まさか…撮っているのがバレた?


僕はサッとカーテンの後ろに隠れた。


しばらくして恐る恐る隙間からそっと覗いてみると、校庭のどこにもボングンの姿がない…


あれ?休暇に入ったのかな?


ちょうどフイルムも一本使い切った所だし、怪しまれる前に今日はもう帰ろう…


そう思って僕は望遠レンズを取り外し、カメラの蓋を開けてフイルムを取り出し、ケースへ入れた。


フイルムをしまおうと鞄を開けると、今日学校に来る前に寄った現像屋さんで受け取ってきた出来上がったばかりの写真をバラバラと床に落としてしまった…


僕はしゃがんで1枚1枚拾いながら眺めては、やっぱりボングンはかっこいいな…なんて呑気に写真に見惚れていた…すると…







「犯人はお前か?」







「っ…!!」








誰もいないはずの部室…


しゃがんでいた僕の背後から声がした。


写真…見られた?


やましいことをしているという自覚のある僕はビクッと肩が震え、心臓が飛び出そうなほど驚いた。


恐る恐る振り返ってみると、そこには眉間に皺を寄せ、明らかに怒っている形相のボングンがいた…







「これ、お前が撮ったのか?」







そう言って僕の目の前に差し出された数枚の写真…


手に取って見てみるとボングンがサッカーをしている写真だった。


でも、明らかに僕の撮った写真じゃない…







「これは…?」







「見ての通り、俺の写真だよ。

これが1枚5000ウォンで女子に売られてたんだ。それも何枚も。

それを知ってからずっと犯人を探してたんだよ。

それがまさか優等生のシム・ドンジュ…お前だったなんてな。」






「ちっ…違うっ!僕はそんなことしてないよっ!」







ボングンは僕の前にしゃがむと落ちている写真を1枚拾って…






「じゃあ、これは何だよ?

これもお前が撮ったんじゃないって言うつもりか?」






「これは僕が撮ったけど、売ったりなんかしてないし、そんなこと考えたこともないよ。

ほら、写真紙の裏の文字見て。僕がいつも使ってるのとフィルムのメーカー名も違う。」







そう言ってボングンに渡された写真と僕が撮った写真を手に持って差し出して見せようとした。


でも、そんな僕の手をボングンはバッと叩き落とした…







「痛っ…」







「メーカーなんて、いろいろ変えて使ったりもできるだろ?そんなのいいわけにもなんねーよ!

正直に言えよ!今まで何枚売って幾ら稼いだんだよ!」







ボングンは完全に僕を犯人だと思い込んでいた。


当たり前か…こんな盗撮してるなんて普通じゃない。


もう何を言っても無理だ…


初めて話をしたのがこんな会話だなんて辛くてそのことに胸が痛んだ…


叩かれてジンジンと痛む手が赤くなっているのを見て悲しくてじわじわと涙が出てきそうになって…







「おいっ!!待てよっ!」







僕は走って逃げた。


ボングンの前で泣くのだけは絶対に嫌だったから。


追いかけられたらサッカー部のボングンに敵うはずはなかったけど、幸いにも追いかけては来なかった。


ショックと悲しみで今にも泣いてしまいそうだったけど家に帰るまで耐えて耐えて…そして自分の部屋に着くとベッドに飛び込んでボロボロと泣いた…


その時ようやくわかった…


僕はボングンの事が好きだったんだって…


かっこいいって思うのは憧れなんかじゃなかった…


自分が男を好きになるなんて認めたくなかったけどこの胸の苦しみや悲しみはそれ以外の何物でもなかった…


気がついてしまったこの気持ちを誤魔化す術はもう何もない…


僕はボングンが好きだ…好きなんだ…


だけどそれがわかった時にはすでに嫌われた後だったなんて…


それも盗撮した写真を売っていた犯人扱い…


盗撮していたのは本当のことだから責められても仕方ないけど、それがお金目的だとは思われたくなかった…


だからと言って本当のことを言うこともできない…


学校が始まった頃にはきっと全校生徒に噂が広まってるだろう…


もうボングンと顔を合わせる勇気もない…


転校した方がいいかもしれない…


もともと歩いて通えるという理由だけで選んだ高校だったんだ。


編入試験を受ければ遠いけど親が勧めてくれていたもう少し上のランクの高校にも通えるだろうから両親も反対はしないはず…


きっと学校が変わればボングンのことは忘れられる…


もともとこんな気持ち…いつかは忘れなくちゃいけないんだし…


そうだ…そうしよう…


これで…良かったんだ…






すべてを諦めたように力なくベッドに横たわり、泣き疲れていつの間にか寝てしまっていた…


その数時間後…









「あの…ドンジュさん…

お客さんが見えてますが…」







トントンとドアをノックする音と家政婦さんの声…


目をさますと辺りは薄暗く、陽も沈みかけていた…







「お客って?」







「学校のご友人のチョン・ボングンさんが来ていますが、どうされますか?

お部屋にお通ししますか?」








「えっ!!ボ…ボン…

ちょっ…ちょっと待って!」







僕はガバッと起き上がった。


まさか…ボングンがうちに来るなんて…


走って逃げたから余計に怒らせたんだろうか…


嫌だ…もうこれ以上傷つきたくない…







「えっと…今はちょっと…

具合悪いとか言って適当に追い返して貰えませんか?」







「はあ…わかりました。」







本当に具合悪いなんて言ったら医者でも呼ばれて大変だから嘘はつけなかった…


もう駄目だ…家まで来るなんてよっぽど腹立ってるんだな…


すぐにでも転校しないと…







「あの…ドンジュさん…

カメラを届けに来たそうです。

直接じゃないと渡せないとかで帰ってくれそうにありませんが…」







「あっ…」







そうだ…カメラを部室の机に置きっぱなしだった…


それに床に散らばった写真も…


鞄だけ持って走って逃げたから…


どうしよう…カメラは返してもらいたいし、ボングンも渡さずには帰らなそうだし…


玄関でささっと受け取ろうか…


でも玄関で盗撮のことを騒がれたら家政婦さんに聞かれてしまうし…それは嫌だ…







「あの…チョンさんを僕の部屋に…」







「はい、分かりました。」







僕はベッドから立ち上がると服の袖で涙を拭った。


何を言われても黙ってよう…


きっとボングンも言いたいことを言えば気が済むだろう…


誤解されたままでも仕方ない。もう僕がやったんじゃないって証明なんてできないし、どうせ転校するんだから2度と会わないし…


2度と…会わない…


そう思ったらせっかく拭ったのにまた涙が溢れてきた…


階段を上がってくる足音が聞こえる…


僕はまた慌てて袖で涙を拭ってるとノックをする音がして…







「シム・ドンジュ、開けるぞ?」







「はい…」







そう返事をしたと同時に扉がゆっくりと開いた…


















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更新のお知らせ

2016.10.19 19:29|お知らせ
お久しぶりです。Monakoです(o^^o)


みなさん、お元気ですか?だいぶ涼しくなりましたね。

私はヘリオピリアの日本版も買い逃し、萌えが足りず、日々の忙しさに追われていました〜(>_<)

今日は久々に小説アップします!

Cheering の番外編、ユノ、チャンミンのパパ、ボングン、ドンジュパパのお話です。

私としてはユノ、チャンミンのイメージで書いています。顔もスタイルもそっくりって設定なので。

パパさん達は現在アラフォーですが、お話は高校生の時の出会いから一緒に住むまでのお話です。

2人の高校生の時はまだ携帯電話もデジカメも普及していない時代です。

全部書き終わってないのですが、多分5〜6話かな?

そんなに長くないです。

良かったら読んで下さいね。

更新は今夜0時になります。

それではまた後ほど〜*\(^o^)/*









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テーマ:二次創作(BL)
ジャンル:小説・文学

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プロフィール

こんにちは!Monakoと申します。 東方神起のユノ、チャンミンが大好きです。 好きってだけで始めた妄想小説ですので、文章が至らないところが多々あると思いますが、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。 BLなR18も出てきますので、苦手な方はご遠慮くださいね☆彡 主人公は不死身、ハッピーエンド主義、ホミンラブです♡

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