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Cheering 〜覚めない夢〜 10

2017.01.30 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜











「ボングン…」








思いがけない再会に目を見開いた…


ボングンはニッと片方の口角を上げて笑うと席を立ってこっちに向かって来る…








「5時に来るって言ってたのにもう6時だぞ?

ったく、ドンホのヤツ適当だなぁ…

あいつ秘書なんて向いてないんじゃないか?」







ああ…そうか…こんな偶然なんてあるわけない…


ドンホが呼んだんだ…







「ドンホなら今、車で電話してるから…

呼んでこようか?」







「は?

ドンホなんかに用はねーよ。

ドンジュ、お前に会いに来たに決まってんだろ?」







「ど…どうして…」







「いいから行くぞ?」







僕の腕を掴むとドアを開けた…








「ボングンッ…どこに行くの?」








「ほら、お前の分のケーキも買っといたから俺ん家で食おうぜ?」








引っ張られながら外に出ると車がない…もちろんドンホもいない…


少し歩いて路地裏に連れて行かれ、そこにあった真っ白なスポーツカーのドアを開けると助手席に押し込まれた。


強引なボングンの行動に驚くばかりで何も言えなくて…


車のエンジン音が鳴り走り出す…


ドキドキと高鳴る胸の鼓動が治らないうちに高級マンションの地下駐車場へと入って行った…


ここがボングンのマンションだったんだ…


驚いたことに僕のマンションのすぐ近くだった…


まさかうちのマンションが見えるくらい近くに住んでいたなんて…







「何突っ立ってるんだよ?早く入れよ。」







玄関の扉の前で立ち尽くしていると先に入ったボングンが戻ってきて僕を引っ張り込んだ。


背後でガシャンと閉まるドアの音…


言われるがままについてきてしまった…








「コーヒーでいいだろ?」







リビングの真っ白なソファーに腰を下ろすと落ち着きなくキョロキョロと周りを見る…


物がほとんどない広い空間の真ん中に置かれた大きなL字のソファー


ちゃんと掃除もされた綺麗な部屋…


高校生の時、ボングンの部屋に何度か行ったことがあったけどあの頃はいつ行ってもかなり物が散乱してたのに…


きっとお手伝いさんでも雇ってるんだろうな…







「美味そうだな…早く食おうぜ?」







目の前に置かれたあの店の苺のケーキとコーヒー…



斜め横にはボングンがそれを美味しそうに食べている…


なんだろう…この状況…



もう会えない…会わないってあれだけ悩んで苦しんでたのに、今僕の目の前にはボングンがいる…


会えて嬉しいはずなのにそれ以上に結婚した僕がボングンと会っている事実に罪悪感で息が詰まりそうに苦しくて…


呑気に一緒にケーキを食べる気になんてなれない…








「何だよ、食わねーのか?

このケーキ食べたくてあの店に来たんじゃねーのかよ?」







「そうだけど…

ごめん…やっぱり帰るよ…」







そう言って立ち上がろうと腰を浮かした瞬間…







「駄目だ!食ってけよ!」







怒ったような声と真剣な顔に驚いてまた座り直してしまった…


食べないと帰らせてくれなそうな雰囲気に仕方なくケーキを口に運ぶ…


美味しい…懐かしいあの頃の味だった…


楽しかった頃の思い出の味…








「美味しい…」







「だろ?」







ついさっきの怖い表情から優しい顔に戻ったのを見てホッとした…


嬉しそうに苺からほう張るのも昔のままだ…


一瞬…あの頃に戻ったんじゃないかって錯覚しそうになる…


ボングンは…一体どういうつもりで僕をここに連れてきたんだろう…


ドンホが連絡したのは間違いないとして…


わざわざ会いに来てくれたってことはもしかしてまだ僕のことを少しは想ってくれてるのかな…


こんなふうに強引に家にまで連れてかれたら嫌でも期待してしまう…


だとしたら、余計にこれ以上ここにいちゃいけないんじゃないかな…


もしボングンに今求められたら、この罪悪感さえ打ち消してしまう程の強い欲望に負けてきっと流されてしまう…



食べ終わったらすぐに帰らなきゃ…



最後の一口を食べ終わった時、いきなりボングンの腕が伸びてきて僕の頰に触れそうになり思わず手でパシッと払い除けてしまった…


ボングンは少し驚いた顔をして僕を見ている…








「なっ…何?」








「ドンジュ…お前さ…」








♫〜♪〜♫〜♪〜








何か言いかけた時、インターフォンが鳴り響いた…







「あっ…やべぇ…」







ボングンは急いでインターフォンのスクリーン前に立つとボタンを押した…







『ボングン、ナヨンよ。開けて〜』







甲高い特徴のある女の人の声が聞こえた…


この声…ナヨンって…もしかしてあの人気女子アナウンサーのイ・ナヨン?


少し前にボングンの出演したスポーツ番組でインタビューしていたのを観たけど…


もしかして…







「ナヨン…悪い…すっかり忘れてたよ。

今、客が来てるんだ。今日は帰ってくれる?」







『えーっ!

今日はオフだから来てもいいって…

タッカンマリ食べたいって言ってたから材料も買って来たのに…』







「ホント悪かったよ…」







ああ…なんだ…付き合ってる人いたんだ…


彼女がいた事実を目の前にしてサーッと冷静になっていく…


この部屋が綺麗なのも彼女が来て掃除してるからだったのか…


馬鹿だな…まだ僕のこと好きなんじゃないかって思うだなんて…


あれから止まっているのは僕だけで、ボングンはちゃんと前に進んでたのに…


でも当然だよ…ボングンは凄くモテるんだ…


結婚した僕のことをいつまでも好きでいてくれるなんて思い上がりもいいところだった…


きっとドンホはこのことを僕に知って欲しかったのかもしれない…


そうすればボングンのことを諦めてチェリンとの生活にもっと目を向けるようになるって思ったのかな…


そしてボングンも僕のことを可哀想だって思って協力してくれたの?


きっと愛のない結婚をした僕のこと…哀れんでいるんだね…


惨め過ぎてもう消えてしまいたい…








無言で立ち上がるとボングンの横を小走りにすり抜けて玄関に向かった…








「おいっ!待てよっ!」








僕を追いかけて後ろから引き止めるように抱きつかれた…


止めないで欲しい…もうこれ以上ここにいて惨めな気持ちになりたくない…








「ボングンッ…離してっ…」







「離すかよっ!」








話が途中だった彼女がインターフォンをしつこく鳴らしている…







「僕は帰るからっ…彼女入れてあげれば…」







「いいんだよっ…

俺は今、ドンジュと話したいんだよっ!」







「僕は…話なんかないよっ…

ドンホに何頼まれたか知らないけど僕にもう構わなくていいからっ…」







「何も頼まれてねーよ!

ただ、今のお前の状況を聞いていてもたってもいられなくて会いたくてさっ…ドンホが今日お前とあの店に5時に来るって言うから待ってたんだよ!」







「僕の状況って?

ドンホから何を聞いたの?」








「全部だよっ!」








「全部って…」








ドンホ…何をどこまで話したの?


まさか…僕がずっとボングンのことが好きだったこととか…


ボングンのことが忘れられなくて結婚生活も上手くいってないとかも?


ドンホ酷いよ…信用して話したのに…





諦めて帰ったのかさっきまで鳴り響いていたインターフォンの音が鳴り止んだ…


抵抗する力も無くしてその場に座り込み、ボングンも僕を後ろから抱きしめたまま同じく座り込んで話し出した…







「俺はあの朝…お前がいないのがわかった時、本当はどこまでも追いかけて俺のものにしたかったんだよ…

だけど、結婚をやめて周りに逆らって生きていくってことはお前にとってそんな簡単なことじゃないってことくらいは俺にだってわかるよ…

それは俺がサッカーができなくなるくらい辛い決断なんだろ?

俺だって…お前のためにサッカーを止められるかって言われたら簡単に答えだせねーし…

それも俺たち所詮男同士だしよ…

普通に結婚してガキ作ってお前が幸せになるんだったらその方がお前にはいいのかもって思ったんだよ…」






そんなふうに思ってくれてたんだ…


僕のこと…どうでもよくて連絡もしてこないんじゃなかったんだね…


自分から逃げておいて嫌われてなかったことに安堵するなんて本当に勝手すぎるけど…


僕の気持ちを考えてくれていたことが嬉しかった…







「だけど、今日ドンホから電話でお前が毎日辛そうだとか、ドンジュにとってこの結婚は幸せじゃないとか聞かされて、会いたくてたまんなくて…

なあ?お前もそうだろ?

俺に会いたかったんだよな?」








そうだよ…なんて言えない…


違うよ…って嘘を言ったところでドンホがバラしたせいでもう信じないだろうし…







「好きだ…ドンジュ…」







後ろからギュッと抱きしめられて耳元で囁かれて…


ああ…まるで今日見た夢の続きみたいだ…


なんて、つかの間の幸せに浸っていると…







「わっ!…なっ何するの?」







いきなり床に組み敷かれてボングンの顔が近づく…







「キスするんだよ…」







「だっ…ダメッ!ダメだよっ!」







本当はしたいよ…僕だって…


だけどそれはチェリンを裏切ることになる…


結婚したと言っても現実的には書類上だけで夫婦らしいことは何もないとはいえ…


さすがにそれは出来ない…








「どうしてもダメか?」








「ダメだよ…僕は結婚してるんだよ…

だからボングン…やめて…」







「そうか…そうだよな…お前は真面目な優しいヤツだもんな…」







そう言いながらも僕の頭上に両手首を片手でまとめ上げて身動きできなくしている…


そしてもう片方の手で僕のネクタイを解いてスルッと首から抜いた…







「ボングン?!」







ネクタイで僕の手首をグルグルに巻きつけて硬くむすんでる…






「何でこんなこと……わっ!やっ!やめっ…」







「暴れるなって!」







僕を抱き上げるとそのまま歩いてリビングから廊下に出てすぐのドアを開けた…


そこはボングンの寝室…


広いクイーンサイズのベッドの上にそっと降ろされ、起き上がる隙もなく上から乗っかられて身動きが取れない…







「ボングンッ…どいてよ…ネクタイ解いてってば…

どうしてこんな…」







「ドンジュ、本当にキスしたらダメか?」







目の前…息がかかるくらいにボングンの顔がある…


少しでも動いたらキスしてしまう距離…







「だからダメだってさっきもっ…んっ!…んんんっ…」







ボングンは僕の制止を無視してキスをしてきた…


抵抗しなきゃいけないのに、口では駄目と言いながらボングンの舌を受け入れていた…


息もできないほどの濃厚なキス…


このまま時が止まればいいのに…と思ったと同時に離された唇…


もう抵抗する気力は無くなっていた…


いいや…初めから本気で抵抗する気なんてなかったんだ…


ボングンとキスした喜びと、欲望のまま落ちていく自分の情けなさに涙がでた…







「ドンジュ…泣くなよ…」








「だって…こんなこと…駄目なのに…」








「お前はちゃんと拒否しただろ?

それを俺が縛って無理やりキスしたんだ…

抵抗なんてできなかった…

だからお前は悪くない…」








「ボングン…っ…だけどっ…」







「もう何も考えるなっ…な?」








ボングンは腕に巻かれたネクタイを解くと僕の頭を胸に抱くようにして横になった…


僕はそのまま胸に顔を埋めて動かなかった…


ボングンのシャツが僕の涙で濡れていく…








「こうなったらさ…一緒に地獄に落ちるか?」








僕はその問いかけには答えないまま、ただ温かな温もりだけを感じていた…















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Cheering 〜覚めない夢〜 9

2017.01.14 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜











「ただいま。」








返事がないのはわかっていながらそう言うと、いつものように玄関を入ってすぐの僕の部屋で荷物を置きスーツを脱ぐ。


そのままバスルームへ向かいシャワーを浴びて汚れを落とさなければこの先のリビングには行ってはならない…


それは結婚してこのマンションで暮らすことになった潔癖症のチェリンとの約束だ。


結婚して一ヶ月…ボングンとの一夜から4カ月が経っていた。


もちろん、あれから会っていない…








「お帰りなさい。」







部屋着に着替えてリビングへ行くとソファーでチェリンが座っていた。







「あ…まだ起きてたんだ。」







「ええ…

ドンジュさん…ずっと帰りが遅いでしょ?

少しお話しできたらって思って…」








この一ヶ月、仕事でトラブルが相次いで平日は夜遅く、土日も出社する日が増えていた…


チェリンは低血圧で朝が弱くて僕が出かける時はいつも寝ているから、仕事がある平日は夜しか顔を合わせていない…


結婚しても夫婦らしいことは何もなく、寝室も別々…


まるでただのルームシェアのように過ごしているけど、彼女は彼女なりにこうして僕に合わせて気を使ってくれているのがわかる。







「結婚したばかりなのに、仕事ばかりでごめん…」







「仕方ないわ。社長さんなんですもの。

いろいろ大変なんでしょう?」







そう言って優しく微笑むチェリンを見てズキンと胸が痛んだ…


いろいろ問題はあるけれど、良い人だとは思う…


結婚したからには大切にしなくてはと思うけど、愛せるのか?と言われたら…正直自信がない…


僕の心の中はいつだってボングンでいっぱいで、この気持ちが無くなるなんて思えない…


本当に僕は酷い奴だ。


そんな僕に合わせようとしてくれていることが申し訳なくて少しでも優しく接しようと思っても、誰とも付き合ったこともない僕にはどうしていいのかわからなかった…







「あっ…そうそう、チョン・ボングン選手…」







「えっ!?」







彼女の口からボングンの名前が出て驚き、それと同時に後ろめたい感情が湧く…








「ほら…前に好きな選手だって言ってたでしょう?」







「な…何?急に…そんなこと…」







「今日ね、ボングン選手がTVのインタビューで東方高校出身って答えてて…

確か、ドンジュさんも東方高校だったわよね?

年も同じだし…同級生だったの?」








「う…うん…」








「前はただのファンだなんて言ってたけど、同級生だったから応援してたのね?

じゃあ、学校の近くのボングン選手が好きだったケーキ屋さんも知ってる?」







「ケーキ屋…」







「ボングン選手って苺のケーキが大好きでよくそこの店に食べに行ってたんですって。

今までいろんなケーキ食べたけどその店の苺ケーキが1番好きだって言ってたのよ。

東方高校ならここから遠くはないし、そんなに美味しいなら食べてみたいなって。

でも、そのお店って衛生状態はどうなのかしら?

チャンミンさんは行ったことある?」







あのケーキ屋さんは店内がカフェになっていてよく学校の帰りにボングンと食べに行ったところだ…


初めて行ったのはボングンの誕生日…


苺が好きだって言っていたから特別に苺をたっぷり使った誕生日ケーキを注文しておいて放課後にさりげなく誘ってサプライズプレゼントにしたんだ…


あの時、ボングンめちゃくちゃ喜んでくれて嬉しかったな…


それからその苺たっぷりのケーキはそこの定番商品として置かれるようになってお店に行くとボングンはいつもその苺ケーキを注文していたっけ…


懐かしいな…


まだその苺ケーキのこと覚えてたんだ…


それも一番好きだなんて…


僕がプレゼントしたケーキだったからかな?なんて自惚れて嬉しくなってしまった…


馬鹿だな…そんなわけないのに…







「ドンジュさん、今度そのケーキ屋さんに連れてって貰えないかしら?

どんなお店か見てみたいわ。

大丈夫そうなら買って食べてみたいし…」








「うん…でも…君には合わないかも…

昔からある古いケーキ屋さんだから…」








「あら…そうなの?

でもそうね…昔からあるお店だと厨房も古そうだし…私には無理かも…」







ボングンとの思い出のケーキを彼女に食べさせるのは何だか嫌でつい嘘をついた…


昔からある店だけど、改装して中はとても綺麗にしているのに…


たかがケーキごときにこんな嘘までついて…


これじゃあ仲良くなんてなれるわけもない…


この結婚を不幸にしようとしているのは明らかに僕の方だ…





その後も会話は続かずにお互い自分の部屋で休んだ。


ベッドに入ると毎日思い出すのはボングンとのあの一夜だった…


忘れないようにボングンの言葉…あの指先…そして僕の中に侵入してきたあの熱を思い出しては時々自分を慰めたけど…


虚しいだけだった…1人で慰めてもあんなふうには満たされない…


やっぱり…ボングンじゃなきゃだめなんだ…


一夜だけ…一度だけでいいからなんて甘かった…


そんな割り切れるものじゃなかったのに…


心も身体も満たされるあんな抱き方されたら忘れられないよ…


ボングンがいないと心だけじゃなくて身体まで寂しさを感じるようになってしまって以前より辛くて苦しくて…


知らなければ良かった…


あんな幸せな時間を過ごしちゃいけなかったんだよ…


ボングンに会いたい…会って抱きしめてもらいたいって、その欲求が日に日に強くなるばかりで、結婚してもこの想いは少しも変わることはないんだってわかってしまった…


僕は一生こうしてボングンを想い苦しんで生きていくんだろうか…


そんな人生…僕は耐えられるのかな…







その夜…僕はボングンに抱きしめられながら眠る夢を見た…


背中からギュッと抱きしめられて耳元で『ドンジュ…好きだ…』って囁いてくれた…


温かくて安心できて…幸せな夢…


だけど朝になって目が覚めて我に返ると思い知る…


僕は結婚してしまったんだ…だからもう会うことはない…


ボングンはいないんだって…



そしてまた意味の無い1日が始まる…



















「ドンジュ!ほら、買ってきたぞ!」







ドンホが沢山の手提げ袋を持って社長室に入ってきた。







「な…何?」







「いいからこれ食え!」







持っている袋からチキンやパン、ピザやハンバーガー…僕の好きな食べ物を机の上に並べていく…







「こんなに沢山…どうしたの?」







「昼メシだよ!どれでも好きなものいっぱい食べろよ。」







「そんなに食べられないって…」







「お前さ、結婚してからどんどん痩せていってるの自覚ないだろ?」









「それは…最近忙しいから…」








「違うだろ!

昼休みも時間があったって食べに出ないしさ、朝ごはんも夜ご飯も食ってないんじゃないか?

だからさっき貧血で座り込んでたんだろ?

あのお嬢様、飯も作れないのかよ…」








僕はさっき廊下で急に視界が暗くなって座り込んでしまった。


それを見たドンホが肩を貸してくれて何とか社長室に戻ると『ちょっと待ってろよ?』と出て行ったけどちょっとじゃなく待たされたかと思えばこんなに買ってきてくれて…


結婚してから日に日に食欲が無くなっていって食べてなかったことがバレてしまったみたい…








「仕方ないんだ…彼女が料理できないことは結婚前からわかってたことだから…

それに朝は弱いみたいだし、僕は帰りも遅いから…

だからいいんだ…」








「いいわけないだろ!こんなに痩せて!

お前もお前だよ!夕飯の用意がないなら言えよ!帰って食べるからっていっつも嘘ついてさ!

夜も食べないで社長みずからやらなくてもいいトラブル処理の仕事までしてさ、そんなに帰りたく無いのかよ…

だから言ったんだよ、お前には好きでもない奴との結婚なんて無理だって!」








「ドンホ…」







怒っているようでもそうじゃないってわかってる。


いつも僕のことを心配してくれているって…



あの日…ホテルを後にした僕はタクシーで家には帰らずにドンホの家に行った。


まともに歩ける状態じゃなかったからそのまま家に帰れないと思った…


あんな姿、お手伝いさんに見られたら何を噂されるかわからなかったし、医者でも呼ばれたら大変だから…


それにドンホには話しておきたかった…僕の恋の結末を…


だからあの夜…ボングンと何があったのかドンホは知っている…







「あの時は結婚してしまえば…諦めがつくと思ったんだ…

だけど僕はそんなに器用じゃなかった…

現実が…受け入れられないんだ…

僕が結婚した現実…

ボングンともう会えない現実が絶望にしか感じられなくて…

そんな僕に優しくしてくれるチェリンといるのが申し訳なくて辛いんだ…」








だから家に帰ると苦しくて…少しでも現実逃避していたくて仕事に逃げていたんだ…








「あの日、あのままボングンのところにいっちまえば良かったんだよ!

あいつもなんなんだよ!

あれから連絡ひとつよこさないとかさっ!

ドンジュがこの会社の社長ってことくらい知ってんだろうが!

結婚前に奪いに来いってんだよ!」







「そんなことしてもらえるような価値は僕にはないよ…

結婚前にあんなことお願いして逃げ帰るような人のことなんて嫌いになって当然だし…

そうだよ…もう僕のことなんて…」








あの夜でボングンの中の僕の印象は随分変わってしまったんだろう…


高校生のあのままの清い思い出でとどめておくべきだったんじゃないかって今になって思う…


僕の身勝手な欲望で自ら思い出までも汚してしまったんだ…







「あ〜〜!待て待て泣くなっ!話を蒸し返して悪かったよ…

もうこの話は終わりっ!とりあえず食えっ!な?」









「う…うん…」








僕は零れかけた涙を拭うとハンバーガーを手にしてかぶりついた…


まるで味覚がなくなってしまったように味を感じない…


それでもこれ以上ドンホに心配かけたくなくてとにかく口に運んだ…







「よしっ!今日は定時で上がってさ、たまには2人で遊びに行こうぜ?

映画かボーリングでも行くか?それとも飲みにでも行く?

何でも付き合うぞ?」







「そうだね…久しぶりにどこか行こうか…」







と、その時頭に浮かんだのはあのケーキ屋だった。








「ドンホ、高校の近くのあのケーキ屋…覚えてる?」







「ああ、よくお前とボングンが行ってたところだろ?」







「そこに行きたいんだ…

久しぶりにあそこの苺のケーキが食べたい…」







こんな食欲も味覚もない僕でもあの苺のケーキならきっと美味しく食べられるはずだ…


ボングンとの思い出の味だから…


仕事が終わったら懐かしいあの場所に行ける…


ボングンがいないのに行ったって余計に虚しくなるかもしれないけどあの頃楽しかった思い出に少しでも浸りたかった…


それくらい僕の心は弱り果てていた…







仕事が終わり、ドンホの運転する車でケーキ屋に向かった。


時間はまだ17時半過ぎ…


このくらいの時間ならまだ苺のケーキは残っているはず…








「ほら、着いたぞ?」







いつの間にかケーキ屋の前に車が停まっていた。


僕が車から降りてもドンホが出てこない…







「降りないの?」







「ああ、会社に電話するから先に行ってて?」







「わかった…」







ケーキ屋の扉を開けると甘い匂いがした…


目の前にはたくさんのケーキが入ったショーケースがあって、5年前と変わらない内装…そして店主とその奥さん…


良かった…苺のケーキもある…







「あの…すみません…」







「あら、いらっしゃい!久しぶりね〜」







奥さんが僕を見るなりにこにこと懐かしそうに話してきた…







「僕のこと…覚えてるんですか?」







「あら、当然でしょ?

うちの大人気商品の苺ケーキを作った張本人ですもの。」






「いえ…僕は何も…」







「ほら、それにいつも2人で食べに来てくれてたでしょ?

まさかあの子が有名なサッカー選手になるなんてね〜

ボングン選手が宣伝してくれたおかげもあって沢山お客さんが来てくれるのよ。

本当に2人には感謝してるわ〜」







「ボングンは…よく来るんですか?」







「ええ、たまに1人で食べに来てくれるのよ。

でも今日は待ち合わせだったのね?」








「えっ?」








「ほらあそこ。

1時間くらい前からずっと居るわよ?」







そう言いながら奥さんが目を向けたのはいつも2人で座っていた入り口から死角になっている奥まった席…


そこには…







「お前、おっせーよ!」







サングラスをして座っているボングンの姿があった…














※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

こんにちは!Monakoです(*^^*)

新年明けまして…って、明け過ぎちゃいましたが今年もどうぞよろしくお願いしますヽ(・∀・)

ドンジュとボングンパパのお話…はじめは5話くらいであらすじみたいに簡単にささっと書いて終わらせる予定だったんですが…

私、やっぱり短編に向いてないみたいで、クドクドとしつこく書いちゃってまだまだ終わりません…

でももう後半には差し掛かってますよ。笑

あと一息…いや、2息?

なかなか更新もできずにズルズル長引いて本当に申し訳ないですm(._.)m

それでも待っていて読んでくれる方がいらっしゃると思うと励みや力になっています。

本当に感謝感謝です。

今年は2人が帰ってきますね!

それを思うだけでも良い年になりそうですが、今年、皆さんにとって良い一年になりますように♡♡♡








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プロフィール

こんにちは!Monakoと申します。 東方神起のユノ、チャンミンが大好きです。 好きってだけで始めた妄想小説ですので、文章が至らないところが多々あると思いますが、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。 BLなR18も出てきますので、苦手な方はご遠慮くださいね☆彡 主人公は不死身、ハッピーエンド主義、ホミンラブです♡

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