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Cheering 〜覚めない夢〜 10

2017.01.30 00:00|Cheering 〜覚めない夢〜











「ボングン…」








思いがけない再会に目を見開いた…


ボングンはニッと片方の口角を上げて笑うと席を立ってこっちに向かって来る…








「5時に来るって言ってたのにもう6時だぞ?

ったく、ドンホのヤツ適当だなぁ…

あいつ秘書なんて向いてないんじゃないか?」







ああ…そうか…こんな偶然なんてあるわけない…


ドンホが呼んだんだ…







「ドンホなら今、車で電話してるから…

呼んでこようか?」







「は?

ドンホなんかに用はねーよ。

ドンジュ、お前に会いに来たに決まってんだろ?」







「ど…どうして…」







「いいから行くぞ?」







僕の腕を掴むとドアを開けた…








「ボングンッ…どこに行くの?」








「ほら、お前の分のケーキも買っといたから俺ん家で食おうぜ?」








引っ張られながら外に出ると車がない…もちろんドンホもいない…


少し歩いて路地裏に連れて行かれ、そこにあった真っ白なスポーツカーのドアを開けると助手席に押し込まれた。


強引なボングンの行動に驚くばかりで何も言えなくて…


車のエンジン音が鳴り走り出す…


ドキドキと高鳴る胸の鼓動が治らないうちに高級マンションの地下駐車場へと入って行った…


ここがボングンのマンションだったんだ…


驚いたことに僕のマンションのすぐ近くだった…


まさかうちのマンションが見えるくらい近くに住んでいたなんて…







「何突っ立ってるんだよ?早く入れよ。」







玄関の扉の前で立ち尽くしていると先に入ったボングンが戻ってきて僕を引っ張り込んだ。


背後でガシャンと閉まるドアの音…


言われるがままについてきてしまった…








「コーヒーでいいだろ?」







リビングの真っ白なソファーに腰を下ろすと落ち着きなくキョロキョロと周りを見る…


物がほとんどない広い空間の真ん中に置かれた大きなL字のソファー


ちゃんと掃除もされた綺麗な部屋…


高校生の時、ボングンの部屋に何度か行ったことがあったけどあの頃はいつ行ってもかなり物が散乱してたのに…


きっとお手伝いさんでも雇ってるんだろうな…







「美味そうだな…早く食おうぜ?」







目の前に置かれたあの店の苺のケーキとコーヒー…



斜め横にはボングンがそれを美味しそうに食べている…


なんだろう…この状況…



もう会えない…会わないってあれだけ悩んで苦しんでたのに、今僕の目の前にはボングンがいる…


会えて嬉しいはずなのにそれ以上に結婚した僕がボングンと会っている事実に罪悪感で息が詰まりそうに苦しくて…


呑気に一緒にケーキを食べる気になんてなれない…








「何だよ、食わねーのか?

このケーキ食べたくてあの店に来たんじゃねーのかよ?」







「そうだけど…

ごめん…やっぱり帰るよ…」







そう言って立ち上がろうと腰を浮かした瞬間…







「駄目だ!食ってけよ!」







怒ったような声と真剣な顔に驚いてまた座り直してしまった…


食べないと帰らせてくれなそうな雰囲気に仕方なくケーキを口に運ぶ…


美味しい…懐かしいあの頃の味だった…


楽しかった頃の思い出の味…








「美味しい…」







「だろ?」







ついさっきの怖い表情から優しい顔に戻ったのを見てホッとした…


嬉しそうに苺からほう張るのも昔のままだ…


一瞬…あの頃に戻ったんじゃないかって錯覚しそうになる…


ボングンは…一体どういうつもりで僕をここに連れてきたんだろう…


ドンホが連絡したのは間違いないとして…


わざわざ会いに来てくれたってことはもしかしてまだ僕のことを少しは想ってくれてるのかな…


こんなふうに強引に家にまで連れてかれたら嫌でも期待してしまう…


だとしたら、余計にこれ以上ここにいちゃいけないんじゃないかな…


もしボングンに今求められたら、この罪悪感さえ打ち消してしまう程の強い欲望に負けてきっと流されてしまう…



食べ終わったらすぐに帰らなきゃ…



最後の一口を食べ終わった時、いきなりボングンの腕が伸びてきて僕の頰に触れそうになり思わず手でパシッと払い除けてしまった…


ボングンは少し驚いた顔をして僕を見ている…








「なっ…何?」








「ドンジュ…お前さ…」








♫〜♪〜♫〜♪〜








何か言いかけた時、インターフォンが鳴り響いた…







「あっ…やべぇ…」







ボングンは急いでインターフォンのスクリーン前に立つとボタンを押した…







『ボングン、ナヨンよ。開けて〜』







甲高い特徴のある女の人の声が聞こえた…


この声…ナヨンって…もしかしてあの人気女子アナウンサーのイ・ナヨン?


少し前にボングンの出演したスポーツ番組でインタビューしていたのを観たけど…


もしかして…







「ナヨン…悪い…すっかり忘れてたよ。

今、客が来てるんだ。今日は帰ってくれる?」







『えーっ!

今日はオフだから来てもいいって…

タッカンマリ食べたいって言ってたから材料も買って来たのに…』







「ホント悪かったよ…」







ああ…なんだ…付き合ってる人いたんだ…


彼女がいた事実を目の前にしてサーッと冷静になっていく…


この部屋が綺麗なのも彼女が来て掃除してるからだったのか…


馬鹿だな…まだ僕のこと好きなんじゃないかって思うだなんて…


あれから止まっているのは僕だけで、ボングンはちゃんと前に進んでたのに…


でも当然だよ…ボングンは凄くモテるんだ…


結婚した僕のことをいつまでも好きでいてくれるなんて思い上がりもいいところだった…


きっとドンホはこのことを僕に知って欲しかったのかもしれない…


そうすればボングンのことを諦めてチェリンとの生活にもっと目を向けるようになるって思ったのかな…


そしてボングンも僕のことを可哀想だって思って協力してくれたの?


きっと愛のない結婚をした僕のこと…哀れんでいるんだね…


惨め過ぎてもう消えてしまいたい…








無言で立ち上がるとボングンの横を小走りにすり抜けて玄関に向かった…








「おいっ!待てよっ!」








僕を追いかけて後ろから引き止めるように抱きつかれた…


止めないで欲しい…もうこれ以上ここにいて惨めな気持ちになりたくない…








「ボングンッ…離してっ…」







「離すかよっ!」








話が途中だった彼女がインターフォンをしつこく鳴らしている…







「僕は帰るからっ…彼女入れてあげれば…」







「いいんだよっ…

俺は今、ドンジュと話したいんだよっ!」







「僕は…話なんかないよっ…

ドンホに何頼まれたか知らないけど僕にもう構わなくていいからっ…」







「何も頼まれてねーよ!

ただ、今のお前の状況を聞いていてもたってもいられなくて会いたくてさっ…ドンホが今日お前とあの店に5時に来るって言うから待ってたんだよ!」







「僕の状況って?

ドンホから何を聞いたの?」








「全部だよっ!」








「全部って…」








ドンホ…何をどこまで話したの?


まさか…僕がずっとボングンのことが好きだったこととか…


ボングンのことが忘れられなくて結婚生活も上手くいってないとかも?


ドンホ酷いよ…信用して話したのに…





諦めて帰ったのかさっきまで鳴り響いていたインターフォンの音が鳴り止んだ…


抵抗する力も無くしてその場に座り込み、ボングンも僕を後ろから抱きしめたまま同じく座り込んで話し出した…







「俺はあの朝…お前がいないのがわかった時、本当はどこまでも追いかけて俺のものにしたかったんだよ…

だけど、結婚をやめて周りに逆らって生きていくってことはお前にとってそんな簡単なことじゃないってことくらいは俺にだってわかるよ…

それは俺がサッカーができなくなるくらい辛い決断なんだろ?

俺だって…お前のためにサッカーを止められるかって言われたら簡単に答えだせねーし…

それも俺たち所詮男同士だしよ…

普通に結婚してガキ作ってお前が幸せになるんだったらその方がお前にはいいのかもって思ったんだよ…」






そんなふうに思ってくれてたんだ…


僕のこと…どうでもよくて連絡もしてこないんじゃなかったんだね…


自分から逃げておいて嫌われてなかったことに安堵するなんて本当に勝手すぎるけど…


僕の気持ちを考えてくれていたことが嬉しかった…







「だけど、今日ドンホから電話でお前が毎日辛そうだとか、ドンジュにとってこの結婚は幸せじゃないとか聞かされて、会いたくてたまんなくて…

なあ?お前もそうだろ?

俺に会いたかったんだよな?」








そうだよ…なんて言えない…


違うよ…って嘘を言ったところでドンホがバラしたせいでもう信じないだろうし…







「好きだ…ドンジュ…」







後ろからギュッと抱きしめられて耳元で囁かれて…


ああ…まるで今日見た夢の続きみたいだ…


なんて、つかの間の幸せに浸っていると…







「わっ!…なっ何するの?」







いきなり床に組み敷かれてボングンの顔が近づく…







「キスするんだよ…」







「だっ…ダメッ!ダメだよっ!」







本当はしたいよ…僕だって…


だけどそれはチェリンを裏切ることになる…


結婚したと言っても現実的には書類上だけで夫婦らしいことは何もないとはいえ…


さすがにそれは出来ない…








「どうしてもダメか?」








「ダメだよ…僕は結婚してるんだよ…

だからボングン…やめて…」







「そうか…そうだよな…お前は真面目な優しいヤツだもんな…」







そう言いながらも僕の頭上に両手首を片手でまとめ上げて身動きできなくしている…


そしてもう片方の手で僕のネクタイを解いてスルッと首から抜いた…







「ボングン?!」







ネクタイで僕の手首をグルグルに巻きつけて硬くむすんでる…






「何でこんなこと……わっ!やっ!やめっ…」







「暴れるなって!」







僕を抱き上げるとそのまま歩いてリビングから廊下に出てすぐのドアを開けた…


そこはボングンの寝室…


広いクイーンサイズのベッドの上にそっと降ろされ、起き上がる隙もなく上から乗っかられて身動きが取れない…







「ボングンッ…どいてよ…ネクタイ解いてってば…

どうしてこんな…」







「ドンジュ、本当にキスしたらダメか?」







目の前…息がかかるくらいにボングンの顔がある…


少しでも動いたらキスしてしまう距離…







「だからダメだってさっきもっ…んっ!…んんんっ…」







ボングンは僕の制止を無視してキスをしてきた…


抵抗しなきゃいけないのに、口では駄目と言いながらボングンの舌を受け入れていた…


息もできないほどの濃厚なキス…


このまま時が止まればいいのに…と思ったと同時に離された唇…


もう抵抗する気力は無くなっていた…


いいや…初めから本気で抵抗する気なんてなかったんだ…


ボングンとキスした喜びと、欲望のまま落ちていく自分の情けなさに涙がでた…







「ドンジュ…泣くなよ…」








「だって…こんなこと…駄目なのに…」








「お前はちゃんと拒否しただろ?

それを俺が縛って無理やりキスしたんだ…

抵抗なんてできなかった…

だからお前は悪くない…」








「ボングン…っ…だけどっ…」







「もう何も考えるなっ…な?」








ボングンは腕に巻かれたネクタイを解くと僕の頭を胸に抱くようにして横になった…


僕はそのまま胸に顔を埋めて動かなかった…


ボングンのシャツが僕の涙で濡れていく…








「こうなったらさ…一緒に地獄に落ちるか?」








僕はその問いかけには答えないまま、ただ温かな温もりだけを感じていた…















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Re: コメントありがとうございます♡

ア○…☆様

コメントありがとうございます♡

はじめまして☆いつもポチの応援していただいてすご〜く嬉しいです。

他の作品も読んでくださったんですね(^^)

cheeringはこんなに書く予定ではなかったんてすけど、いろいろ思いついちゃって長々と書いてしまっています…

の、わりには進みが遅くてすみませんσ(^_^;)

少しずつペースを上げていますのでこれからも読みに来て下さいね(*^_^*)
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